ダークで、退廃的で、傷や、痛みや、命や、孤独に寄り添いながら、そのすべてをDUSTCELLという世界を通すことで、その歌と音で浄化してしまおうというのが彼らの音楽だ。
EDMを軸としたDUSTCELLのサウンドは、メロディと同じ次元でリズムが楽曲の根幹を担っていて、リズムが楽曲の土台となっているのではなく、むしろメロディと渾然一体となって目まぐるしく展開する。
そして何より、不穏な展開の中に高純度のポップネスやキャッチーな要素を取り入れるのが非常にうまい。
さらに言えば、Bメロに向かうためのAメロ、サビへつなげるためのBメロ…といった予定調和をことごとく壊し、初見では振り払われてしまいそうなほどにメロディが展開していく様は圧巻だ。
“CULT”にしろ"命の行方”にしろ"STIGMA”にしろ、内省的で救いを求める歌が多かった印象だが、最新アルバム『光』は冒頭の楽曲“GAUZE”が示すように、傷を包み込むような「光」に包まれている。
闇から手を伸ばしているというよりは、光から光に、もしくは光から闇に手を差し伸べているような。
初期から決して内に入り込む音楽だけを届けてきたというわけではもちろんないが、彼らの楽曲が大きく別次元へと展開したドラマ『明日、私は誰かのカノジョ』エンディング主題歌として起用された“足りない”や"Caffeine”といった楽曲では、内省的で個人的な心象風景を具現化することで世界との距離を測っていたDUSTCELLの構造を大きく飛躍させ、具体的かつ社会的な存在として自らを認識したうえで自身を取り巻く感情の独白が、より多くのリスナーの心を刺したのだ。
2021年に発表され、MVの再生数が1500万回を誇る“命の行方”では、
《生まれたことに理由などなくても/昏い夜に光を探している》
《何回光を見られるのだろうか》と歌っていた。
そして今作の表題曲”光”では、
《雲の合間から覗き込むように/突き抜けてくる強い光》
《空と海はもう青さに満ちて》と歌われる。
明らかに彼らは今、闇の中で震えるのではなく「光」の中に自らの存在を見出している。
そんな今作の全貌に迫るインタビューは、現在発売中の『ROCKIN'ON JAPAN』9月号及びrockinon.comにて公開中!
初登場となるMisumi(Composer)とEMA(Vo)の肉声を、ぜひ確かめてほしい。(橋本創)
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DUSTCELLが今、世界に手を伸ばして「光」を歌う理由──『ROCKIN'ON JAPAN』初インタビューでその核心に迫りました!
2024.08.02 17:00