森 大翔がステージからぶん投げてくる「愛」は熱くて、深くて、どこまでも尊い! ということがわかった「Let It Grow」ツアー東京公演の夜

《“混沌”と言う言葉で括られた時代の/憂鬱はその“愛”で息の根をとめてやろう》。森 大翔のニューアルバム『Let It Grow』は、こんな確信めいた宣誓から幕を開ける。

その「愛」とは、能天気でテイクフリーな愛ではなく、挫折や別れを乗り越えた先で待つ「ありのまま」の自己肯定によるオリジナルな愛である──ということは、アルバムを聴きながらわかっていたことだけれど、そのライブを通してそれがリアルな体温をもって伝わってきた。

これまでの森 大翔のライブにあった「溢れんばかりのクリエイティビティがギターを持って歌っている」みたいな勢いあるパフォーマンスはそのままに、歌の細かいニュアンスや空間を制圧する佇まいを通して、いろんなグラデーションの「愛」を僕らに届けようとしているのを体感したからだった。そんなものを受け取ったらこちらも全力で返すほかなく、客席からの熱を受けたライブの温度はさらに高まっていく──という「愛」の灼熱ラリーを経て、終演後には身も心もすっかりあったかくなっていた。

森 大翔の次なる舞台は全国7都市を巡る弾き語りツアー「響縁」。弾き語りでは、バンドライブとは違ったグラデーションの愛をよりピュアに感じられるんじゃないかな。(畑雄介)

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