17年越しに公開されたBUMP OF CHICKEN“飴玉の唄”のMVを観て考えたこと
2024.12.27 19:30
当時中学生だった私はこの曲の意味をどこまで理解できていたのだろうかと、リリースから17年越しに公開されてファンを驚かせた、BUMP OF CHICKENのアルバム『orbital period』収録曲“飴玉の唄”のMVを観ながら考えていた。
MVはアニメーションで展開される童話のようなファンタジーなのに、一時停止したくなるくらい胸が詰まる思いになった。自分の命を差し出してでも生きていてほしいと願う命があったとして、命を差し出せばそれを見届ける前に自分が死んでしまう──つまりそんなことは実際には不可能だと、残酷で当たり前な現実を急に突きつけられた感じがした。
“飴玉の唄”は、私たちに何を伝えたかったのだろうか。重い愛のうた? 大切な人の死を乗り越えるためのうた?
私はこのMVを観て、「死」の恐怖を思い出させられたというか、幼少期になんの引き金もないのに「急に親が死んでしまったらどうしよう」とか、漠然とした不安に襲われたときに近い胸のざわつきを感じた。そして、この得も言われぬ感覚になるのは大人になってからはなんだか久しぶりな気がした。
人間の根源的で解決しようのない不安。でもこの感情があるから抗って生きようとする。“飴玉の唄”は何よりも生きることを後押しするうたなのかもしれないと、17年後の今の私はそう解釈している。(有本早季)
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