「えっ! そんなとこまで描いちゃっていいの!?」と初めて『ヘドウィグ・アンド・アングリーインチを観た時の衝撃を思い出す。大根仁×森山未來による最新型ヘドウィグは、まさに「ヘドウィグ」という壁を壊したとんでもない破壊力を持った作品だ、新しい歌、新しい音楽、新しい物語。3.11を経た「2012年の日本」ならではのヘドウィグが生まれており、その過激で斬新なアイディアと、それをポップに表現する才能に改めて驚く。
森山未來の歌が想像を超えた美しさで、舞台初出演の後藤まりこは、ある意味では後藤まりこのまま役を生きていた。彼女のイツァークは、まったく新しい存在として輝き、また百戦錬磨のライヴパフォーマーである彼女は、フロアとステージをつなぐ重要な役割も担っていた。
ニューヨークのクラブ「スクィーズボックス」から始まったこの物語の原点を彷彿とさせる、ライヴ感とアンダーグラウンドな空気もわくわくする。
SOLD OUTのためO-EAST公演は観れない人も多かったが、これからツアーを回り、千秋楽はZepp公演が待っている。この作品は観ておいたほうがいい。(井上)