真空ホロウの『少年A』が素晴らしい


というわけで4月 30日発売のJAPANに松本明人(Vo)インタヴュー掲載。メジャーデビュー第二弾となるミニアルバムだが、サウンド的にはダイレクトで力強い、一皮剥けた覚醒感がある。かと思いきや、明人の歌の巧さをいかした昭和歌謡的メロディーや春にふさわしいバラード、壮大なマーチなど多様性に富んでいて、それでもって一曲一曲の完成度が高い。詞の世界観は相変わらすディープに「人間ってなんですか?」という実存に迫る。ペットショップのショーウィンドウ越しの犬を見ても、震災後に水を買い込む人々の列を見ても、子供の頃大人に可愛がられようと振る舞っていた自分を思い出しても、そうした人間の業を描かずにはおれない、表現者としての核にさらに迫る!
ブログ写真を撮る時に本誌を持ってくれるアーティストは多いが、背表紙面を見せる人は珍しい。こんなサービス精神とねじれた感性が真空ホロウの個性を 生み出しているのだ。
そんな彼が今、はまっているのがデヴィッド・シルヴィアンだという。……なぜ!? でも三島の『禁色』をモチーフにした“禁じられた色彩”(いわずとしれた戦メリのテーマに歌をのせた坂本教授との共作)の世界観はどこか共通するものを感じる。
(井上)
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