I's解散、そして過去を殺して未来を照らし出すラストシングル“Past Die Future”について思うこと

I's解散、そして過去を殺して未来を照らし出すラストシングル“Past Die Future”について思うこと
昨年の夏、あの(Vo)はインタビューでI'sについてこう語っていた。「始まるのも急だったし、終わるときはスパッと終わるんだと思います」。

だから、I's解散の知らせを聞いたときもそんなに驚きはしなかったけれど、やっぱり曲との思い出はあるわけで、もっとライブ観ておけばよかったなとか、“夢る夢る”音源化してほしかったななんて考えてしまって、どうしたって悲しかった。

でも、メジャーデビューシングルにしてラストシングル“Past Die Future”は、そんな悲しみを気持ちよく吹っ飛ばしてくれる曲だった。


中山卓哉(G)のエッセンスを感じるアレンジのキャッチーなきらめき、畝狹怜汰(Dr)による感情のリミッターを破壊していくドラム、すべてを支えながら大蛇のようにうねりまくるキッチン前田(B)のベース。そして何よりもあのが書いた詞曲とそこに魂を吹き込む歌が素晴らしすぎる。

ドラマ『【推しの子】』第4話主題歌として書かれたこの曲について、あのは「MEMちょを通さないと書けなかった」と言っていたけれど、《僕だけの武器突き刺して 愛も血も晒して/地獄から生き上がってやるんだ》という言葉は、あのがその身ひとつで体現するクソみたいな世界への美しい反骨精神そのもののように感じてしまう。メロディーも清々しいくらいに前向きでピュアで、だからこそ少し切なさを感じて泣けてくる。“YOU&愛Heaven”でも感じたけれど、あのの作詞作曲からは巨大な才能を感じるから、I's解散後もanoでいろいろと曲を書いてほしいなと思った。

さっき引用したサビの歌詞は最後《地獄でも生きてやるんだ》という言葉に変わる。I'sは終わってしまっても、僕らが地獄のような日々を生きながら絶えず変化していけば、I'sの曲はずっと生きているし、そこに込められたメッセージも同じように変化していく。僕らが過去を殺して未来へと進み続けていく限り、I'sの音楽を突き動かす初期衝動は永遠に消えないのだと、“Past Die Future”は確かに伝えてくれている。(畑雄介)


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