cero@リキッドルーム、「マイ・ロスト・シティ」=東京を描く鋭さ


昨日はcero@恵比寿リキッドルームへ。

東京で過ごすにあたって誰もがうまく付き合っているのは、不意の雨とふとした瞬間にいきなり認識してしまう孤独、それと、人ごみをうまくすり抜けて歩くテンポだと思う。
そんな都市生活者の日常、その憂鬱とスリルを、極上のユーモアで描くceroのライヴは、東京で生活する者同士の日常報告会のような趣がある。
ひどい土砂降りだった昨日で言うなら、どこか密かに催された夜会のような感じがある。
まさに市井に生きる者同士の寄り合いという感じで、周りの人たちと妙なつながりが感じられてしまう。

東京にはいろいろな顔があり、時々、東京というのは実体のないたくさんのファンタジーが集まったような街だと思うことがある。
それはある意味、眩い光と人ごみと無数のすれ違いにあてられてしまった酩酊状態とも軽い躁状態とも言えるが、そんな、「ロスト・イン・トランスレーション」で「マイ・ロスト・シティ」な東京を見事に描写するceroの感性は本当に鋭い。
ceroの音楽にどこか遠くの国のおとぎ話でも聞いているような感覚があるのは、狂ったファンタジーの舞台としての東京を誰よりリアルにとらえている証拠だと思う。

昨日撮った雨上がりの東京の写真も心なしかファンタジックに見える。
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