Pitchforkが2008年のベスト・ソングの1位に選んだのが、
HERCULES AND LOVE AFFAIRの「BLIND」だった。
ニューヨークのカオスが夜のダンス・ミュージックに表出する
このナンバーもアルバムも、
素晴らしかった。
それは、どこか懐かしいダンス・ミュージックの意匠を借りながら
決定的にことなる位相に「今」があることを示していたからだ。
聞いた話によると、現在のニューヨークは、
まさに文字通りに「人種の坩堝」であるらしい。
もちろん、この都市は昔からそうだったのだけど、
それでも「共通の言語」としての英語であり、
「社会のある種の規範としての白人的マナー」があったのが、
いまでは通りでも店でも、みながみな、
それぞれの母国語を臆することなく勝手気ままにしゃべりまくり、
その会話も言語的にはまったく統一されないまま、
「通じていく」という状況にあるそうなのだ。
ほんとかよ?と思うのだけど、そうらしい。
すごく面白い状況だと思う。
そしてその光景はすごく興奮させられる。
オリエンタルからブラックからホワイトから、
あらゆるものが洗練の極みの中で溶け合う
このナンバーのタイトルが、
コミュニケーションに関わる言葉であり、
また、コミュニケーションというか、
ひととひととの距離とそこにあるものについて
人一倍思いあぐねてきたANTONYが歌っていたりといったことも、
この曲の象徴性を表していたと思う。