我々と同じようにこの国を憂える人間がどれだけいるんだ

我々と同じようにこの国を憂える人間がどれだけいるんだ

自民党離党組と平沼らによる新党「たちあがれ日本」が今日、旗揚げの記者会見を行った。その席で、後見人を自認する石原東京都知事が、平均年齢70歳を超える新党議員の年齢問題を問われ、こう答えたのだという。「年寄りだとバカにするかもしれないが、30、40、50代で我々と同じようにこの国を憂える人間がどれだけいるんだ」

芥川賞選考委員を長らく務め、新党の党名も自ら名づけたとされるこの作家兼政治家は、二重の意味で「言葉に真摯」なわけである。いつもそうしてきたように、彼は自分の思ったことをできるだけストレートに、混じり気なしで今回も発したのだ。なるほど、彼が言うように30、40、50代で彼と同じようにこの国を憂える人間はいないと思う。いたとしても彼からすれば腹立たしくなるほど少数なのだろう。彼から見るところの「若いモン」が立ち上がっていれば、わざわざワシがこうして決起しなくとも済むのじゃバカモン、と言いたいのだろう。

石原慎太郎は、まったく正しい。彼が洞見するように、いまの若いモンは、隣国に対してことさらにこれ見よがしに侮蔑的な発言をすることはない。いまの若いモンは、外国人だと見れば即犯罪者だと決め付けるような真似はしない。石原がいつもいつもいつもいつもいつも言ってきたような態度をもって、われわれ若いモンはこの国を憂うことはしない。別の考え方ややり方でこの国を憂えているのだから。

石原慎太郎はこれまでと同じように、ある種の高邁な潔癖主義で、われわれ若いモンとの決定的な温度差を思い出させ、有権者の中でもとりわけ巨大なボリューム・ゾーンと決別した。選挙を数ヵ月後に控えた結党記者会見としては稀に見る、まさに彼一流の画期的な戦術だったと感嘆するほかない。
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