「クロサワが生きていたら観るのを楽しみにしてくれたはず」『荒野の七人』『七人の侍』のリメイクが上映。[トロント映画祭]
2016.09.14 10:45
トロント映画祭は、今年後半の大作、アカデミー賞狙いの作品が公開されることでも有名。今年はまず『荒野の七人』のリメイク『マグニフィセント・セブン』が公開された。これはご存知のように元は黒澤明監督の『七人の侍』をハリウッドでリメイクしたもの。
2016年版の見どころはその豪華キャスト。まずデンゼル・ワシントンが7人のリーダー役を演じる他、クリス・プラット、イーサン・ホークなどが7人を演じる。中でもクリス・プラットの魅力が最大限に活かされているように思った。彼が映画の中で多くの笑いをもたらしているのだが、記者会見によると実はそれは彼の即興だったというからさらに感動だ。
実はデンゼル・ワシントンは『荒野の七人』を観ていないそうだが、監督のアントワーン・フークアは、黒澤明の『七人の侍』をキャストと一緒に何度も観たという。つまり、黒澤作品のほうに最大のオマージュを捧げた作品なのだ。「この映画のDNAは『七人の侍』なんだ」と言っていた。
監督は、「クロサワはマスターだ。シェイクスピアみたいな人だ。だけど、失敗を恐れて、やりたいことをあきらめるのは間違っている。彼がもし今生きていたら、この作品を見るのを楽しみにしてくれたはずと、僕は信じている。彼は一歩先を見る人だった」と会見で語っていた。
さらに、「今回の登場人物たちはもっと過激かもしれないし、今の時代の人が共感できる部分もたくさんある。韓国人のキャストもいる。新しい時代なんだ。ウエスタン映画は常に変革してきた。かつてウエスタン映画の登場人物は全部白人だった。その伝統を続けるなら、いつまでも白人だらけということになる。でも、ジョン・ウェインの時代から実は少しずつ変化があって、彼が描いていたキャラクターも、次第にダークになってきたんだよ。それにはベトナム戦争などの体験が影響していたんだ。僕らも、僕らが生きる時代に合ったウエスタンを作った」とリメイクの意図についても説明した。
女性のキャラクターの描き方や結末なども含めて、まさに現代のエンターテイメント作品に仕上がっている。
日本公開は来年1月27日予定だ。
日本語予告編はこちら。