必見の伝記映画3本。ナタリー・ポートマン×ジャッキー・ケネディ、オリバー・ストーン×スノーデン、20歳のオバマ。[トロント映画祭]

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ここ数年、伝記ものを演じるとアカデミー賞にノミネートされる確率が非常に高いのだが、今年も引き続き注目の伝記映画が目白押しだ。

今年のトロント映画祭で上映された作品の中でとりわけ話題をかっさらった作品が3本ある。ナタリー・ポートマンがジャッキー・ケネディを演じた『Jackie』と、オリバー・ストーン監督が手がけ、ジョセフ・ゴードン=レヴィットが主演した『SNOWDEN』、そしてオバマ大統領の大学時代を描いた『BARRY』だ。

個人的に伝記映画でつまらないと思うのは、ウィキペディアの映像版みたいに出来事の羅列になってしまう時だが、この3本はどれも独自の視点がある。

1)『Jackie』は、ジョン・F・ケネディが暗殺された後の数日間のみを追った作品。歴史的大事件が起きた時、その真横にいた人物は何を思っていたのかが、赤裸々に語られていく。ナタリー・ポートマンの演技が素晴らしくて、彼女の悲しみ、苛立ち、威厳、が激しく入り交じる様を繊細な演技で見事に演じきっている。彼女は舞台挨拶の時に、「この役をやるのはすごく怖かった。だからこそ女優として挑戦してみたいと思った。それに私は失敗しても全然気にしないから(笑)」と語っていた。トロント映画祭でも絶賛されているので、アカデミー賞の可能性は十分にあると思う。

また監督は今作を撮った動機について、「彼女はアイコニックな存在なのに、いつもジョン・F・ケネディの隣りにいた人、以上のことは描かれてこなかった。彼女の隣りにいつもいたのがジョン・F・ケネディだったという見方で映画を作れないだろうかと思った」と興味深いことを語っていた。これも今年のトロント映画祭の傾向だ。これまで、男性側からしか語られてこなかった歴史が、女性視点で語られている。ヒラリー・クリントンが大統領候補であるという今の状況にも関係していると思う。

2)『SNOWDEN』は、言わずとしれたエドワード・スノーデンの伝記。まだ33歳だし、生きているのに伝記の対象になるという意味では、マーク・ザッカーバーグの『ソーシャル・ネットワーク』にも通じる。今作は、監督が社会派で有名なオリバー・ストーン監督であるため、彼がこの難しい問題にどう切り込むのかも注目されていた。スノーデンを演じるジョセフ・ゴードン=レヴィットが記者会見で語っていたのは、「愛国心には2種類あって、国が定めたことにそのまま静かに従うこと。もうひとつは国に疑問を提示していくことで、国が前進すること。もちろん後者のことを考えながら、僕はスノーデンを演じた」と。国に疑問を提示するのも愛国心だというテーマは、今年の映画祭で他の話題作にも見られることで、例えば『The Birth of Nation』の監督も舞台挨拶では同様のことを語っていた。

今作が公開されることもあり、再び渦中の人となっているスノーデンは、オバマ大統領に任期中に恩赦を頼む意向だということを、ガーディアン紙が伝えている。
https://www.theguardian.com/us-news/2016/sep/13/edward-snowden-why-barack-obama-should-grant-me-a-pardon

映画はジョセフが演じるのスノーデンの、始まった瞬間から声の低さでびっくりする、なりきりぶりも見どころだ。またオリバー・ストーンはスノーデンを扱ったことが、今作を様々な意味で制作困難にしたとNYタイムスにその全課程までこと細かに説明している。
http://www.nytimes.com/2016/09/04/magazine/edward-snowdens-long-strange-journey-to-hollywood.html?_r=1

制作が大変だった理由のひとつは、スノーデン本人を映画に出演させようとしたことだったという。映画には実際に本人が出演していて、それが最も感動的な場面のひとつになっている。またオリバー・ストーンはスノーデンにも直接会っていて、「ボノかアル・パチーノほどのカリスマ性がある」と語っていた。

3)『BARRY』は、オバマ大統領がNYのコロンビア大学に通っていた当時のみに焦点を当てている。この作品の面白いところは、オバマが黒人と白人の親に生まれ、自分のアイデンティティを見付けられず葛藤することが描かれているところ。彼が書いた自伝でもそれについては多く語られているが、単なる成長物語ではなく、当時のアメリカの黒人への差別意識なども、オバマの体験を通して痛感させられる。彼がそこから大統領になったという事実と、そこまでの道のりについて考えると、とても感慨深い気持ちになる。オバマを演じた俳優Devon Terrellがあまりにオバマにそっくりなのも素晴らしい。今年は、”Black Lives Matter”を反映した、または”白すぎるオスカー”に反発する作品が多く公開されているのも特徴だ。

『SNOWDEN』の予告編はこちら。

『Jackie』の予告編はこちら。
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