R.ゴスリングxE.ストーンの『LA LA LAND』がドリーミーで切ない。最高すぎ! 観客賞受賞でオスカーまっしぐら。[トロント映画祭]
2016.09.20 19:30
普段はミュージカル好きとは言えない私だが、この映画は違う。ライアン・ゴスリングと、エマ・ストーンが主演、『セッション』の監督ダミアン・チャゼルによる最新作ミュージカル『LA LA LAND』が最高だった。これが週末に発表されたトロント映画祭で、見事観客賞を受賞したのだ。
トロント映画祭では、最近は『ルーム』、『それでも夜は明ける』、ちょっと前なら『スラムドッグ$ミリオネア』などが観客賞を受賞している。伝統的にトロント映画祭で観客賞を受賞するとオスカーまっしぐらだと言われているので、この作品がオスカーにノミネートされるのはすでに確実と言える。
まあオスカーはさておき、この作品は本当に素晴らしかった。過去のハリウッドのミュージカル映画への美しいオマージュとなっているのみならず、『セッション』の時にも感じた監督の音楽(ジャズ)へのリアルな愛がもう隅々から滲み出ているのだ。音楽ファンなら、その台詞の数々がさらに身にしみるはず。例えばエマ・ストーンの演じる女の子が、「ジャズなんて嫌い!」と言い放ち、ライアン・ゴスリング演じる売れないジャズプレイヤーがジャズの素晴らしさを力説するところとか。監督が実際に体験したんじゃないかと思うくらい「あるある」な瞬間がたくさんなのだ。
しかも、音楽が本当に素晴らしくて、トロント映画祭で上映された時は、1曲演奏が終る度に会場が大拍手。普通のミュージカル映画を観ていると、主人公達がいきなり歌い出す瞬間はむずがゆくなってしまうのだけれども、それがあまりにも自然で、むしろその瞬間を待ちわびてしまう。さらに、曲を作ったのは、監督の学生時代のルームメイト! それも良い話だ。
上映後Q+Aに応えた監督は、この映画が過去の作品へのオマージュでありながら、「現代的なリアルさを持って描きたかった」と語っていた。確かに、全編ドリーミーなこの作品が、思いきり切ない印象を残すのは、そこに現代的なリアルさがあるからなのだ。彼は『セッション』で大ブレイクしたが、今作で本当に大監督になりうる才能であることを証明してみせた。過去へのオマージュはあるけど、ポール・トーマス・アンダーソンほどシリアスすぎず、現代的な切なさがあるのだが、ミッシェル・ゴンドリーやスパイク・ジョーンズほどオルタナでもない。そのちょうど間をいく感じの新世代監督だ。
だからこの作品には、誰とでも観に行ける大衆性がある。母親と行くのも想像できるし、デートでもオーケー。女友達とも行ける。それでいて、こんな映画は観たことがないと思わせてくれる作品。日本公開がいつなのかはわからないけど、一刻も早く観てもらいたい!!!
とりあえずドリーミーで切ない予告編はこちら。