PiLのドキュメンタリー映画がトライベッカ映画祭で世界初上映。ジョン・ライドンも登場!

PiLのドキュメンタリー映画がトライベッカ映画祭で世界初上映。ジョン・ライドンも登場!
PiLのドキュメンタリー映画がトライベッカ映画祭で世界初上映。ジョン・ライドンも登場!
PiLのドキュメンタリー映画がトライベッカ映画祭で世界初上映。ジョン・ライドンも登場!
NYで毎年恒例のトライベッカ映画祭が開始した。4月21日にパブリック・イメージ・リミテッドのドキュメンタリー映画『The Public Image is Rotten』が世界初上映され、ジョン・ライドンと監督のTabbert Fiiller(ライドンの隣りに座っている人)が出席してQ&Aも行われた。

PiLのドキュメンタリー映画がトライベッカ映画祭で世界初上映。ジョン・ライドンも登場!

予告編はこちら。

ライドンは、感想を聞かれて、「太ってて、皺だらけだから、最近の映像を観るのは辛かった。監督は、カメラに特殊なフィルターをかけてくれるって言ったのに嘘つきめ!」と早速会場を笑わせていた。

映画はセックス・ピストルズが解散したすぐ後から始まっている。映画全体としてはライドンも含めて過去のメンバー達が当時を振り返りながら、時系列に沿って進んでいく。ジョン・ライドンが7歳の時に記憶を失ったことをどう感じているかも描かれているが、セックス・ピストルズについてはほとんど触れられていない。あくまでPiLに焦点を置いた作品だ。PiLが、バンドの結成以降、何度も内部から壊れながらも、むしろそのカオスを利用して新たなサウンドを獲得していったことが分かる作品になっている。

レッド・ホット・チリ・ペッパーズのフリーなど、ゲストも登場。フリーが若い頃、新聞広告でPiLがベースを探していることを知り、オーディションに出かけ、即メンバーに決まった話が紹介されていた。フリーはもの凄く嬉しかった反面、家に帰ってからレッチリはどうすればいいのかと悩み、結果的には友達に「途中から入ったPiLは、絶対に”自分の”バンドにはならない」と言われ、翌朝「やっぱりできない」と断ったそう。

サーストン・ムーアは1981年にNYで彼が観たライブが暴動になった話を紹介。ライブのチケットは一瞬で売り切れるほどの人気だったのにライブ開始が何時間も遅れたばかりか、ステージには巨大スクリーンがあって、その後ろでメンバーが演奏していた。メンバーの顔を一度も観せなかっため、観客が暴動を起こしたのだとか。ただ、サーストンは「人生最高のコンサートだと思った」と語っていた。さすが。

日本に初ツアーに行く場面も面白い。良いギャラだったので絶対に行きたかったのだが、ポール・マッカトニーが大麻所持で捕まったニュースを知っていたため、メンバーのキース・レヴィンのドラッグ問題にビビっていて、結果的にはキースが日本ツアー直前に辞めてしまう。

さらにQ&Aで話していたことをいくつか紹介。

1)若い頃の自分を観てどう思ったか。「というか、俺の人生はここまでが、まだ前半でしかない。俺はピート・タウンゼントじゃないから『年取る前に死にたい』なんて思わない。俺は、『年を取ってから死にたい!』」。

2)"Death Disco”について。「あれは癌でゆっくりと死んでいった母について歌った歌だ。俺は、死と上手く向き合えない。でもそういう人達ってたくさんいると思う。他の人とは違う人達。そういう人達を理解したいと思っている。それがPiLなんだ」

3)映画化をすることになった最大の要因は、監督が熱望したこと。「こういう映画を作るのは本当は好きじゃない。俺はツメのように固い人間に見えるかもしれないけど、本当はバターのようにやわらかい人間だから(笑)(←本編でバターのCMに出たシーンが紹介)。でも監督の人柄のおかげで心を開いて話ができた」。制作には、4年半くらいかかったそうだ。

4)PiLとは。「PiLとは優しさ、寛容さだ。人を厳しく批難したりしないこと。そうじゃなくて、様々な人達を受け入れること」「それに、自分を愛するためには、まずみんなをどうやって愛せばいいのか学ばなくちゃいけないと思うから。」

5)14歳の双子を引き取って育てたことがあることについて。「元々は俺のアイディアで、子供を引き取って育てたりしたら絶対にカオスになって、俺達の人生がめちゃくちゃになるだろうと思っていたんだけど、ありがたいことに、まったく予想通りになったよ!(笑)。でも、俺は本能的に子供達が好きなんだと思う。人間なら誰でもそうなのかもしれないけど。母が病気だったから、子供の頃から小さい兄弟達の面倒をみていたんだ。俺は記憶を失って彼らの名前も思い出せなかったし、彼らが誰なのかも分からなかったのに。俺が毎朝ご飯を作って、紅茶を入れて、靴下や靴を履かせてあげていたんだ」

6)作曲について。「俺が書く曲はすべて俺の人生経験に基づいている。適当な歌詞を投げ込んだ箇所はひとつもない。それがストーリーテラーということかもしれないけど、だってそうじゃなかったら意味がない。俺はそうやって自分を正直に正確に語ることで、自分自身が誰なのかを理解しようとしているんだと思う。俺達はみんなそうやって曲を書いている。だから、理解して欲しい。人が批判されたりするのを見るのは辛いんだ。スティングを除いてな。心から曲を書いていなかったら、それは時間の無駄だ。金のために書かれた曲はみんなも聴けば分かるよな? 俺は自分が優れたストーリーテラーだと言ってるわけじゃないんだ。まだ学んでる途中だし、優れたストーリーテラーにいつかなれたらいいと思ってる。俺はフォーク・シンガーなんだ。良いフォークシンガーかどうかはみんなが判断してくれれば良い。だけど、俺が神から授かった才能はこれしかない。だから、できる限り精一杯頑張っているんだ」

今後の上映については未定だということだ。
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