現在NYで行われているニューヨーク・アジア映画祭で、映画『サムライマラソン』が開幕時に上映され、同映画に出演している小松菜奈が国際的に活躍する期待のスターに贈られる“インターナショナル・ライジング・スター賞”に選ばれた。
授賞の瞬間の映像はこちら。
この中でも語っているけど、小松菜奈はなんとNYに来たのはこれが初めてだという。招待された憧れのNYで賞を授賞して光栄だ、と語っている。
さっそくタイムズスクエアに行って写真を撮った話も微笑ましい。インスタにも、タイムズスクエアで撮ったかわいい写真をポストしていた。
その他にも、スピーチの中で「NYはパワーと活気があり、すごい素敵な街だなあと思いました。ここで感じたドキドキする気持ちは、役者を始めた時と似ているので、これからも広くたくさんのものを吸収し、もっといいお芝居をして色んな人を魅了できたらいいなあと思います」、「この賞に恥じないよう、これからも頑張っていきますので応援よろしくお願いします」と語っていた。
さらに、映画上映後にはQ&Aも行われた。以下、観客から訊かれたいくつかの質問。
Q.『サムライマラソン』で難しかったシーンや好きなシーンは?
小松:難しかったシーンは、男性役を演じるシーンだった。どういう風に見せれば男性になれるのかがなかなか分からなかったから。好きだったシーンは、映画の始まりで父に絵を燃やされるシーン。元々は台詞があるシーンだったけど、言葉なしで表現してみたいと思って監督に自分から提案してみた。
Q. 日本の俳優がもっとアメリカの映画に出るにはどうしたら良いと思うか?
バーナード・ローズ監督:アメリカの映画はナナを今すぐもっと起用するべきだ。それから、『ゴジラ』とか怪獣映画は全部東京で撮るべきだよ。
小松:言語の壁があるけど、機会を与えてもらえれば、サムライなどの映画以外でも出演できるようになると思う。
などと答えていた。
また、上映前の楽屋で小松菜奈にインタビューさせてもらった。
●まずNYに来てどんな気持ちですか?
NYに来るとスパイダーマンがいそうな気がするというか(笑)、映画で観ていた世界。タイムズスクエアもミーハーですけど行きたいなあと思って、昨日行ったんです(笑)。来てみたかった憧れの場所です。だから嬉しいです。こうやって映画の上映と賞をいただいて。すごくハッピーです。
●行きたい場所はあるんですか?
古着がすごく好きなので、ビンテージショップに行ってみたいです。本当はもう少し時間があったらミュージカルなど観に行ったり、ミュージアムに行けたらいいなあと思ったのですが。
●今回の役が歴史物という設定の中で、非常に現代的で観客に元気を与え、すごく共感できる役だったことについて。
雪姫は閉ざされた中、外の世界を見られなかったのに、西洋に憧れて、広く世界が見えていた女の子だなあと思っていました。強い女性だし、固定観念に囚われていない、色んなことに挑戦したいと思っている。城を出るということ自体がたぶんすごく大きなことで、でも雪姫は飛び出して、色んな人達に出会って、自分で色んなものを見て、目の前で殺される事だったりとか、色んなことに触れる事によって1人の女性として強くなっていくという。世界の人達が観て、強い女性だな、カッコいいなあと思ってもらえる様な、そんな女性を描けたらいいなあと思っていました。
●自分と重なるところはありましたか?
好奇心があるのはすごく一緒で、私もすごく好奇心があって、何でも挑戦してみたい、やってみなくちゃ分からないと思っているタイプなので。(雪姫には)すごく似ている部分があって、男装して外に出て、男の中に入っていくっていう、そのすべてが挑戦でもあって、その時代ではすごく行動的な女性だと思います。そういう部分で私も旅行に行くのが大好きで、1人で旅に行くのも大好きなので。絶対に行きたいと思ったら予定を立ててすぐに行くタイプなので(笑)。そういう部分で共感してもらえるような女性を演じられればいいなあと思って演じていました。
●世界の人が観るかもしれないということは考えていましたか?
衣装のワダ(エミ)さんと話している時に、女性が男性を立てるという社会の中で、雪姫にはスーパーヒーロー、スーパーウーマンみたいに本当に強くあって欲しい、凛とした雪姫でいて欲しいと言われて、私もそう思っていました、という話をしたんです。最初は物語のキーと言える存在だし、その中で男性も女性も演じるのは、プレッシャーでもあったんですが、ワダさんが着物も一から染め始めて。そんなカッコ良くて美しいものが似合わなかったらどうしようと思って。それに似合う強い女性を演じないといけないなあという気持ちでのぞみました。監督が海外の方なので、日本の人が観ても、海外の人が観ても共感できる存在でありたいなと思っていました。
●月並みな質問ですが、(マーティン・)スコセッシ監督や今回の経験について。
撮り方も全然違いますし、海外の監督はすごい長玉(望遠)でアップを撮っていたりとか、自分で分からないんですよね。それを気にしてられないというか。お芝居も何が正解なのかもその時に分からなくて。スコセッシは、現場に来るタイプの監督さんではなくて、でも必要な時に来て「今のはすごく良かったからもう1回」って言って、そこから30テイク撮ったり、って感じなんですよ。本当にどれが使われているのかも分からないし、本当に未知の世界というか。
あと、海外は特別扱いがないというか、みんなひとりひとりで闘っていくという感じで。自分を出して行くという感じ、だからスコセッシ組に入った時も、日本での当たり前は海外では全然当たり前じゃないなあと思いました。そういう環境は自分にとってすごく新しいことだったので、もっと挑戦したい欲が出てきて。日本の作品も素晴らしいし、環境にもすごく恵まれていると思うんですが、海外は自分を試すひとつの道というか、すべてがデンジャラスというか。
バーナード監督もそうですがパワフルで付いてこいみたいな現場があって。バーナード監督は生のお芝居を大事にしていたので、本当に何が起きるのか分からない日々だったんですけど、監督が君達にとってはすごく刺激的な撮影になるよ、と撮影前から言っていて、どんな撮影になるのかみんなすごく楽しみにしていたんです、色んなカオスな状況はあったんですけど(笑)。でもそれは、修行みたいな感じで乗り越えて、それが一体感にもなって画面に溢れ出ていたので、監督の作戦でもあったのかなあと思いました。
●今アメリカでは特に多様性が求められていて、映画においても、日本人の役者が活躍する場があると思うんですが、海外の作品にもっと出たいと思いますか?
その機会があるんだったら是非やってみたいなあと思います。語学ができないことでチャンスを逃しているなあとすごく思いますし、英語も勉強しなきゃなあと思います。スコセッシ組とバーナード監督の作品に出て、より枠に捕われずに色々な環境や状況でもまれて、若いうちにそういう経験をたくさんできたらいいなあと思います。日本の作品もちゃんと頑張らないといけないんですけど。そういうところで違う風を感じられたらいいなあと思います。
●出てみたい作品は?
海外の作品だとフランス映画が好きで、なんでもない日常を描いたリアルな感じがすごく好きなんですよね。大きいことが起きるのではなくて、リアルな感情が描かれた作品が好きなので、そういう作品に出演してみたいなあと思います。そういうところに投げ出された方がいいのかなと思うんですよ。
またバーナード監督にもインタビューした。
●菜奈さんの演じた雪姫がモダンで、観客が映画に入っていく窓になっていたことについて。
彼女の役は僕が脚本で変えた一番大きな部分だった。オリジナルでは、彼女は、本当にお姫様で、マラソンにも参加しない。でもそれは違うと思ったんだ。あの役のインスピレーションは、クロサワ(黒澤明)の『隠し砦の三悪人』(1958年)に出てくる同じ雪姫というお姫様。隠されているんだけど、強いし、闘う人なんだよね。『スター・ウォーズ』のレイア姫のインスピレーションでもあった役だ。だからそのキャラクターを元に戻してあげるのは良いように思えた。
●この作品をやりたかった理由。
50年代、60年代のクロサワ映画が大好きで、その西部劇との関係性も好きだった。そこにはユニバーサルなものがあったと思う。クロサワはジョン・フォードに影響を受けていて、彼はセルジオ・レオーネや、ジョージ・ルーカスに影響を与えていたというね。時代劇というのは、ほとんど世界的なファンタジーと言えると思う。
●役者としての菜奈さんについて。
彼女は存在感があり、内面から溢れる強さがある。それがこの映画を本当に背負ってくれたと思う。彼女は何も話さないような、何もしてないような時でも、まったく動いてなくても、内面で何が起きているのかが分かるし、それが何なのか知りたいと思わせる。僕にとっては、それが偉大な俳優の印なんだ。派手な動きで表現する人よりもね。