オスカー戦線 その2ダーク・ホース編

  • オスカー戦線 その2ダーク・ホース編
  • オスカー戦線 その2ダーク・ホース編
  • オスカー戦線 その2ダーク・ホース編
  • オスカー戦線 その2ダーク・ホース編

オスカー注目作として、『Precious』とジョージ・クルーニー主演『マイレッジ、マイライフ』についてご紹介しましたが、すでに発表されたゴールデン・グローブのノミネーションでは、予想通り『マイレッジ〜』が最多の6部門ノミネート、『Precious』は3部門でしたが、作品賞、主演女優賞、助演女優賞の主要部門でノミネートの大健闘。


今回はオスカーのダーク・ホース作2作。
まずはコーエン兄弟の傑作『A Serious Man』。このポスターのごとく、あまりに無駄がなく、しかしどっからどう見てもヘンで、完璧な作品。60年代のミネソタ郊外(コーエンの故郷)に生きるユダヤ人の男を主人公にしたコーエンにとって恐らく最もパーソナルな作品。宗教観がテーマのひとつで、思い切り笑えるが、思い切り痛い。とんでないところからパンチを食らったような気分になる衝撃的な作品。ほとんどの批評家は今年の10本に入れている。


同じく今年の10本に欠かせない『THE HURT LOCKER』。去年のトロント映画祭で上映され、誰もが絶賛した作品。今年満を持して公開されが、その賛辞はまるで消えることがなかった。イラク戦争を舞台に描かれた今作だが、描かれているのは今まで一度も観たことのないような戦地。というより、描かれているのは戦地ではなく、ある兵士の内面なのだ。アメリカ軍爆弾処理を行うエリート兵士が、ひとり爆弾に向かい、冷酷というくらい淡々とそれを処理するのだ。戦地でももっとも危険な業務を担う彼だが、なぜ彼は爆弾に向かい続けるのか? 妻と息子がいたが離婚して家族はいないこの主人公。ただ孤独だからか、または真の英雄だからなのか? 観ている間中、重いボディ・スーツを着た彼の体の中に自分も入ったような気分になる作品。監督はジェームス・キャメロンの元妻。脚本は『告発のとき』も書いたジャーナリストによる。
中村明美の「ニューヨーク通信」の最新記事
公式SNSアカウントをフォローする

人気記事

最新ブログ

フォローする