オスカーへの道その6 サッチャー英元首相を演じたM・ストリープ、約30年ぶりにオスカーか?

オスカーへの道その6 サッチャー英元首相を演じたM・ストリープ、約30年ぶりにオスカーか?

メリル・ストリープが主演女優として約30年ぶりにオスカーを獲るかもしれない。


現時点では、アメリカ批評家賞の結果を見ても、巷での噂を聞いていても、オスカーでぶっちぎりそうな作品はないのだけど(と言いつつ『The Artist』が弱冠強しなのだが)、周りのジャーナリストも批評家も、誰もが同意しているのが、メリル・ストリープの『マーガレット・サッチャー 鉄の女の涙』の演技がとにかく鬼のように素晴らしいということ。


メリル・ストリープの演技が上手いって、当たり前すぎるのだが、でもここにきて改めて、私だけではなくて、どんなジャーナリストに聞いても熱く語る人達が多いので、オスカー獲りそうな雰囲気である。


私が、メリル・ストリープはすでに2個ももらってるし、もう彼女が名優であることは当たり前なので、例えばもっと若いミッシェル・ウィリアムズ(『My Week with Marilyn』)にあげたい、などと言った日には、


「2個と言ったら、ヒラリー・スワンクが2個もらっていることを考えると、メリル・ストリープの才能から言ったらもっともらうべきだし、それに彼女が2個目をもらったのは、『ソフィーの選択』の時で、すでに29年も経っているから、そろそろもらってもいいはずだ。しかも、女優として最多の16回もノミネーションされてるんだから!」と細かいデータで反撃された(笑)。


メリル・ストリープ自身は最近、最多の16回ノミネートされていながら、2回しか受賞していないことについて、14個分の未発表の受賞スピーチがあって、それはどれもすごくよく書けているからいつか本にでもして発表したい、とジョークのような本気のようなことを言っていた。


現時点での対抗馬は、ミッシェル・ウィリアムズ(『My Week with Marilyn』)、ティルダ・スウィントン(『We Need to Talk about Kevin』)、ヴィオラ・デイヴィス(『The Help』)、グレン・クローズ(『Albert Nobbs』)というところか。


しかしこうやってみると、むー、ティルダもヴィオラも強敵だな……。やはり今年は混戦か。


監督は『マンマ・ミーア!』のフィリダ・ロイドで、物語が弱いという声が多いのも事実。また原作者には、あまりに史実と違うと反論されたりもしている。が、とにかくストリープの演技は必見。


日本の予告編はこちらで。
http://ironlady.gaga.ne.jp/
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