ブルース・スプリングスティーン『ノー・ニュークス・コンサート1979』の魅力を徹底検証 ―― ミュージシャンと歌と観客だけが呼び起こす、ロック・マジックよ、再び!

ブルース・スプリングスティーン『ノー・ニュークス・コンサート1979』の魅力を徹底検証 ―― ミュージシャンと歌と観客だけが呼び起こす、ロック・マジックよ、再び! - rockin'on 2022年1月号 中面rockin'on 2022年1月号 中面

先月号で興奮の第一報を書いた、ブルース・スプリングスティーン&Eストリート・バンドの史上最高コンサートとの謳い文句が飛び交う『ノー・ニュークス・コンサート1979』が、ついに出た。オリジナル・マスター・テープからレストア、リミックスされた映像と音源は想像をはるかに超える迫力で、今まで未公開だった“バッドランド”などを加え約90分、怒涛のステージを味わわせてくれる。

反核を掲げるミュージシャンたちの団体「MUSE」(ミュージシャンズ・ユナイテッド・フォー・セーフ・エネルギー)のためのベネフィット・コンサートとくればスプリングスティーンの気合いも特別だったろうし、ヒット・アルバム『闇に吠える街』からの“暗闇へ突走れ”に始まり“バッドランド”と続け喜ばせるが、Eストリート・バンドのマイアミ・スティーヴやクラレンス・クレモンズのソロで盛り上がる“プロミスト・ランド”は格別だ。

ちょうど次作『ザ・リバー』のリリース直前で、同作から“ザ・リバー”と“愛しのシェリー”(この曲の時、後ろの観客に向かう所でクレモンズがコケるのが可愛い)を聴かせ、ここからパーティーは一気に頂点に達する。

映画『カセットテープ・ダイアリーズ』を観た人ならたまらない“涙のサンダー・ロード”から歌い込む“ジャングルランド”、後半でメンバー紹介を挟み込んだ“ロザリータ”、本編ラストの“明日なき暴走”までの熱量の高さは、何度観ても凄まじい。ステージの左右、前後をギター抱えて走り回り、ピアノの上に立ったりのスプリングスティーンを包み込むEストリート・バンドと一体化してこそ生まれる熱だ。

アンコールは「MUSE」を牽引するジャクソン・ブラウン等を迎え“ステイ”で歓びを分かち合った後、定番“デトロイト・メドレー”からヒーローのひとり、ゲイリー・U.S.ボンズの“クォーター・トゥ・スリー”でマディソン・スクエア・ガーデンを巨大なダンスフロアに変えて締めくくられる完璧なショー。

余計な演出やライティングはなし。ミュージシャンと歌と観客だけで、これだけ熱くなるロック・マジックがここにある。 (大鷹俊一)



ブルース・スプリングスティーンの記事は、現在発売中の『ロッキング・オン』1月号に掲載中です。ご購入はお近くの書店または以下のリンク先より。

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