さまざまな人物の歴史やその裏側を深掘りする米国の人気番組『バイオグラフィー』シリーズが待望の日本上陸を果たす。4月からヒストリーチャンネルの放送と配信を通じて、日本語字幕付きで視聴できるようになるのだ。
このプログラムではこれまで各界の著名人のみならず、音楽の世界における伝説的アーティストたちも数多く紹介されてきているだけに、放送開始は本誌読者にとっても要注目の一大事といえるはずだ。なにしろ4月中の公開ラインナップの中に早くも『KISSTORY 地獄の軍団』と『オジー・オズボーン メタルの帝王』が名を連ねているのだから。
結成から50年を迎えたキッスは現在『END OF THE ROAD』と銘打たれた最終ツアーを実施中だが、その終着点が12月初頭のニューヨークでの2夜公演であることが先頃公表されたばかり。この『KISSTORY 地獄の軍団』は、同ツアーの初日にあたる2019年1月31日のバンクーバー公演当日の映像で幕を開け、ポール・スタンレーとジーン・シモンズのインタビューを軸としながら、半世紀に及ぶ彼らの歴史を掘り下げていく。各々の生い立ち、不遇の時代と成功の代償、歴代メンバーとの確執、時流が変化し続ける中での試行錯誤といったものが赤裸々に描かれており、このバンドに関してはそれなりに知識量があることを自負している筆者にとっても新たな発見が豊富に含まれていた。
そこについては『オジー・オズボーン メタルの帝王』についても同様で、奇行歴やランディ・ローズの他界などについても改めて丁寧に掘り下げられ、幾度も命を落としかけてきた彼の人生がいかに波乱に満ちたものであるかを改めて実感させる内容になっている。そして両番組を通じて言えるのは、とにかく制作サイドの踏み込み方が半端ではないということ。ポールとジーンがお互いに対して語り掛け合うように話すシーン、オジーが妻でありマネージャーであるシャロンと共にバーミンガムの生家を訪れて回想する場面なども貴重だし、そうした徹底的な取材のあり方には敬意をおぼえるほどだ。
5月以降も音楽関係のみならず多様なプログラムの放送が予定されているが、まずはこの2本を確実にチェックしておきたいところだし、『バイオグラフィー』シリーズそのものについても注目しておくべきだろう。まさに必見である。 (増田勇一)
『バイオグラフィー』の記事は、現在発売中の『ロッキング・オン』5月号に掲載中です。ご購入はお近くの書店または以下のリンク先より。
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