現在発売中のロッキング・オン6月号では、キャット・パワーのインタビューを掲載!
以下、本インタビューの冒頭部分より。
「だから、彼(ディラン)が気に入ってくれる/くれないかは問題じゃないっていうか、とにかく贈り物、『ありがとう』
の思いを込めたものというかな。
優雅で、意識的で、褒め言葉をもらおうと狙ったものではなく、ダイレクトで、深い理解のあるものにしたかった」
●『〜シングス・ディラン〜』は思いがけず嬉しいリリースでした。最初から作品化するつもりだったんですか?
「RAH公演の打診を受け、マネージャーから『すごく大きなオファーだけど、やる?』と相談されて、『もちろん! ただし――私はボブ・ディランの歌を、あのレコードをやりたい』と即答した。公演が決定した2ヶ月後くらいにリハーサルのためにLAに飛んだんだけど、『このショウは録っておく必要がある、本当に、そういうフィーリングがある!』と皆に話したのがあの時だった。ワンテイク信者の私は自然なものにしたかったから、ある意味、リハーサルするのを拒否したくらいで。かと言って、あのライブを真剣に捉えていなかったわけじゃないんだけどね。このアルバム向けのライブをやることにし、録音すると決めた時――パンデミック後のアメリカの状況は、女性の権利の侵害を始め本当にめちゃくちゃ。重税、医療問題、食品の質の悪化と、一般人の生活の質が本当に落ちていた。だから『このパフォーマンスを録音するんだ!』と思った。今は歴史のそういう局面だと感じるというか、たとえば小学校教育からブラックヒストリーが取り除かれ、全米各地で禁書処分が起きたり、それはファシズムへの第一歩であって。だから私は今やらなくちゃいけない、このショウをやろう、ツアーしよう、と思った。これらの歌を近年ライブで歌い続けてきたけれども、スーダンやパレスチナを始め、世界の至るところで悲惨な状況が続いているし、ライブを観に来るお客さんの思いが感じ取れる。誰もが悲嘆にくれ、心痛を抱えているのが私にも伝わってくるし、これらの歌が彼らの心と共鳴しているのが、受け身なノリではなく、積極的に共鳴しているのが分かる」
●あなたはカバーの名人で、原曲のエッセンスを残しつつメロディやフレージングを大胆に変え、あなたの曲にしてしまうことで有名ですが、このアルバムは比較的ストレートでオリジナルに忠実です。これはなぜですか?
「うん、そこは重要だった。本当に大事だった。というのもボブはまだ、私たちと同じ地球の、この『次元』にいるわけで……。彼はこれまでずっと同じことをやってきた人だし、彼は私の仕事を生み出してくれた、そこにとても感謝している。私も、ギター1本を相手に酒場で何年も歌ってきたし、ひとりきりで、人生や世界に対して頭がおかしくなりそうになっていた。それをやれたのはボブみたいな人が同じことをやっていたからだし、彼は私の職業を作り出してくれた。その点、彼の勇敢さに、深く感謝している」
(以下、本誌記事へ続く)
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