現在発売中のロッキング・オン1月号では、デイヴィッドのインタビューを掲載！
以下、本インタビューの冒頭部分より。
「結局、iPhoneに戻っちゃうんだよな。スタジオに入って本格的な機材をいじったりとかもちょいちょいしてるけど、最終的に自分の元いた場所に返るみたいな感じで」
●以前は iPhone のアプリで曲制作をしていましたが、今でもそれは続いているんですか？
「相変わらず iPhoneで曲を作ってるよ。それこそ今朝もここに来る前にホテルの部屋で音を録ってたくらい。結局、iPhoneに戻っちゃうんだよな。スタジオに入って本格的な機材をいじったりとかもちょいちょいしてるけど、最終的に自分の元いた場所に返るみたいな感じで、スタジオよりも圧倒的にiPhoneで作ることが多い。とはいえ、機材はアップグレードしてるんでね。今でもiPhone主体で作ってることには変わりないけど、そこに色んなマイクを繋いだり色々試しては工夫してるんで。でも、プラグインだのプリセットまわりは今でもBandLabのアプリを使ってるし、色んな組み合わせを試していくうちによりクリアで高品質のサウンドを導き出すコツがなんとなく掴めてきたのもあるし」
●楽曲のクオリティも音質も上がってきていますが、一方で デイヴィッド作品の魅力であるＤＩＹの生々しさが損なわれないように何か工夫していることはありますか？
「まさに、生々しさが自分の良さだと思ってる。それって自分が完璧主義者じゃないから可能になってるとこもあるんじゃないかな。ミュージシャンなら一点の曇りもない完璧なサウンドを求めるのが普通なんだろうし、それこそキーもピッチも完璧なら機材も一流のものを揃えて臨むんだろうけど、一切の感情が伴わないのにただ完璧さだけを目指してる人間と一緒に音楽を作るのとか自分的には無理で。だって曲を書いてリリースすることが最終目的じゃないから。自分の感情を刻みつけるために曲を作ってるんだからね。本格的に音楽を学んだ人間からしたらキーが一つ違ってるだけで絶対に許せないんだろうし、自分のやってることなんて間違ってることだらけなんだろうけど、こっちはむしろドヤ顔なんで（笑）、正解よりもいい感じの不正解を叩き出すことにプライドを持ってる。基本一発録り、ほぼ未加工の状態の音を出してるんだから、そりゃ生々しいに決まってる。それが聴く人にも直に響いてるってことなんじゃないかな」
●“Feel It”はアニメ「インビンシブル～」の曲でしたが、アニメーションのリリックビデオがとても素敵でした。音楽とビジュアルの一体感を作り出すのに工夫した点は？
「今ってみんな極端に矛盾を恐れてる気がして。だから、世の中の大半のＰＶはハッピーな曲にはハッピーな映像を、悲しい曲には悲しい映像っていうセオリーに則って作られてるんだろうけど、自分は悲しい曲にあえてハッピーなビートをあてたり、逆にハッピーな曲には暗いビートをあてたりとか普通にしてるからね。”Feel It”なんかまさにそうだし……あのＰＶの中に殴り合いの決闘シーンが登場するんだけど、曲のノリとしてはガンガンに踊りたくなるような感じだし、とりあえず殴り合いをしたくなるような曲ではない（笑）。ただ、両サイドから描き出すことで、自分の中にある葛藤も矛盾も自分のものとしてそのまんま出してるんだ」
●次の新たなアルバム制作をほぼ終えたそうですが、次作においても、アニメや漫画からの影響は強く出そうですか？
「もちろん。それを言うなら諫山創の（＊英語の“Attack on Titan”でなく、日本語で）『進撃の巨人』からインスピレーションを受けてるよ、しかも主人公のエレン・イェーガーだよ。自分がこれまでの人生で観た映画やアニメのヒーローの中でもこんなにぶっちぎりで複雑すぎるキャラクターがあるか?っていうくらい、だって主人公であると同時に敵なんだから。ヒーローが最終的には悪に転じていくところにしろ……それは自分のオルターエゴでありITAMIにそのままあてはまるし、自分の影の存在としてビジュアル面にも登場させてる。これまで自分が出したほぼすべてのＰＶにITAMIが登場してるし、常にその影がチラついている。自分の表と裏と光と影の対立構造を描き出してる、そのどちらも紛れもなく自分自身なんだ」
（以下、本誌記事へ続く）
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