ライブバンドとしてのバー・イタリアを目の前にして、踊らずにはいられない一夜だった。
ロンドン・インディロックシーン発、ポストパンクの最新系:バー・イタリア。
2023年、名門マタドールから立て続けにリリースした『Tracy Denim』『The Twits』の勢いはそのままに、2025年にはさらに強度を増し、等身大の現在地を示した快作『Some Like It Hot』を発表。
前回の初来日から約1年半という短期間でのカムバックにもかかわらず、この日のリキッドルームは多くのオーディエンスで埋まっていた。
期待が高まる中、ステージに登場した彼らがオープナーとして投下したのは3rd『Tracy Denim』から、“my kiss era”。ステージ両サイドから分厚いギターサウンドを繰り出すのはジェズミとサム。バンドの紅一点:ニーナはフロントで風に髪をなびかせながら、気だるげなボーカルで言葉を繋いでいく。気持ちの良いグルーヴでフロアの立ち上がりは完璧。
次曲の“my littele tony”も過去作『The Twits』から。パワフルなドラムビートががっちり下支えする中、くるくる回って踊りながら自在に歌うニーナ。そしてジェズミ、サムのエッジィなギターサウンドの応酬。その後も3人が入れ替わり立ち代わり歌い、演奏し、それぞれの個性が突き抜けながらも一体感のあるセットであっという間に前半が終了。
もちろん最新作『Some Like It Hot』からも多くの必殺曲を演奏してくれた。特に後半は“omni shambles”や“Eyepatch”、“rooster”などアップテンポなナンバーを繰り出し、オーディエンスを大いに沸かせた。フロアは右を見ても左を見てもみな恍惚とした表情で、手を上げ、体を揺らし、快哉を叫んでいる。個人的にもバー・イタリアがこんなにも踊れるライブバンドなのだと、この日を持って初めて実感した。
今回のアルバムについて、「気がついたらベストスコアを叩き出してた」とはジェズミの言葉だが、進化が止まらない彼らのまさに集大成的現在地を目撃できた一夜だった。(土屋聡子)