原宿アストロホールにて、パトリック・ワトソンのライブを観た。
実験のための実験じゃなく、音の効果を肌で知っていて、全身で音楽を奏でる。しかも、目いっぱい楽しそうなのに自己満足には陥らない。すごいアーティストだと思う。2時間近い演奏が、こんなに短く感じられたのは久しぶりだった。
きっと、どんな些細なことも、インスピレーションにしてしまうのだろうと思う。以前にインタビューしたとき、日本の体験できっと新しい曲ができると思う、と言っていたから、また新しい歌ができるはずだ。ツアーについて周っている息子と奥さんに曲を捧げる場面もあった。最高なお父さんだなぁ。
流麗だけどはかないクラシック・ピアノの音色、即興ジャズの如き凄腕ドラミング、キャバレー・ミュージックの煌びやかさ。そういったものがぐちゃぐちゃに混在しながらも、ポップ・ミュージックとして、歌として、まっすぐに刺さってくる。言ってみれば、より外に向かったビョークのような、都市の喧騒をも軽やかに曲にしてしまうホセ・ゴンザレス、のような。インディ的な「遊び」の要素をも、ロックとして鳴らしていた。
真っ暗にした会場で、今月亡くなったラサと一緒に書いた曲を披露した。ラサが亡くなったのを知って、愕然とした。(羽鳥)