ワイルド・ナッシング+ミシェル・ウィリアムズの新PV


ワイルド・ナッシングが女優のミシェル・ウィリアムズを起用した、新作『ノクターン』収録の”パラダイス”のPVを公開した。
これがいい。
ミシェル・ウィリアムズと言えば、最近ではマリリン・モンローを演じて、今年のアカデミー賞にノミネートされたことが記憶に新しいが、もともとはテレビ出身のアイドルだったというのに、ヴィム・ヴェンダース『ランド・オブ・プレンティ』やアン・リー『ブロークバック・マウンテン』を経て、いつの間にかアメリカを代表する個性派女優。
そんな彼女がアメリカを旅する様子をローファイなカメラで捉えた作品なのだが、カセット・ウォークマンを聴く、など、ちょっとわざとらしい演出もあるとはいえ、ワイルド・ナッシングの浮遊したいわゆる”ドリーム・ポップ”に上手くマッチしたシンプルな作品である。

彼女とインディ・ミュージックの関係は浅くない。
個人的に彼女の主演作品の中では、全編でグリズリー・ベアの憂いを帯びた旋律が流れる傑作『ブルー・バレンタイン』がおすすめ。
あるカップルの燃え上がる愛と、その崩壊が描かれている作品なんだけど、たとえば浮気とか、そういうイベントやドラマがないのに淡々と崩れていく恋愛のさまは、本当に見ていて耐えられない。
それだけ共感できるからだ。
ここまで胸を引き締められる映画はあまりない。
DVDも買い、また観たいといつも思うんだけど、なかなかその気になれない。
そういう映画である。
でも絶対に観たほうがいい。
傑作だから。
エンドロールで流れるグリズリー・ベアの”アリゲーター”を堪能するだけでも価値はある。(内田亮)
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