さらば東京タワー蝋人形館!

さらば東京タワー蝋人形館!

今年も9月号の校了作業→フジ・ロック→RIJF→サマーソニック→10月号の校了作業、と毎年恒例の、まったく休みの取れないロッキング・オン編集部の夏ですが、土曜日に10月号をほぼ校了できたので、昨日は久しぶりの休日。
とうことで、なにをしたかというと、家族を東京タワーに連れていきました。
名目上は”家族サービス”ということで、期間限定で開催されている「大昆虫展」とかにも寄ったが、本命は「蝋人形館」。
なにしろ、この東京ランドマーク、9月1日に閉館しちゃうのだ。

言わずと知れた東京の”ロックの聖地”である蝋人形館。
その事実を知らず(ネットとか今ほど普及してなかったし)、学生時代に授業をサボって友達とふたりで初めて行ったときのインパクトは強烈だった。
なにしろマリリン・モンローや『猿の惑星』、またはチャーチルやケネディーといった、まあ、普通にありそうな対象から始まるわけだが、ビートルズを皮切りに、ジミ・ヘンドリックス、フランク・ザッパ、キース・エマーソン、ロバート・フリップ、イアン・アンダーソン、リッチー・ブラックモア、ジェイムズ・ヘットフィールドとロック・ファン以外は絶対に楽しめない蝋人形がズラリと並んでいたのである。
しかも、そのあとマジで度肝を抜かされたのは、ファウストやアシュ・ラ・テンペルのメンバーなど、自分もほんの少ししかかじってないクラウトロックの偉人たちが、それぞれ物々しくディスプレイされていたこと。
このときのショックは忘れられない。
グル・グルやクラスターのCDが陳列された出口にあるお土産屋のインパクトも強烈で、修学旅行で訪れた中学生たちが、わけもわからず、それらのCDを物色していたあまりにもアヴァンギャルドな画も永遠に記憶に刻まれただろう。

ということで、東京タワー自体が個人的に大好きな建造物ということもあって、それからも何度か訪れた「蝋人形館」だが、今回が最後。
前に行ったときより蝋人形の並びが変わっていて、ジョン・レノンが恐ろしいほど似ていないサージェント・ペパーズ時代のビートルズとジミ・ヘンドリックスから、いきなりクラウトロックという順になっていたのと、なんとカクタスのラスティー・デイというこれまたマニアックなアーティストの蝋人形が展示されていたのは驚かされたこともあり(前からあったっけ?)、東京でもっとも有名な観光地とは思えないディープな異次元空間はやはり刺激的だった。
自分と同じく、閉館を惜しんで訪れていたロック・ファンが多かったので、前のように、「この人、誰?」「有名なの?」という戸惑いの声は少なく、「マニュエル・ゲッチングの蝋人形はどうなるんだ?」と嘆く人とか、フランク・ザッパの蝋人形を残念そうにずっと見つめている人とか、全体的にセンチメンタルな空気が流れていたのも印象的。
やっぱりその閉館には悲しくさせられる。(内田亮)
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