KREVAの武道館を観た

KREVAの武道館を観た
ダイバーシティのライブの時にも思ったが、KREVAはひとつのジャンルだ。
キックがデビューした時、ヒップホップというスタイルは異端だった。僕を含む多くの人間は日本でヒップホップがポピュラリティーを獲得するのは難しいと考えていた。
しかし少し時間はかかったが、ヒップホップは日本のポップミュージック・シーンに於いて大きなポピュラリティーを持つことになる。
たくさんのヒップホップのヒット曲が生まれ、多くのスターが登場した。その大きな変化の中でKREVAのポジションはどうなったか?相変わらず異端である。
KREVA自身、たくさんのヒット曲を出し、アリーナを何日も満員にしても、彼は異端であり続けている。
日本で市民権を得たヒップホップは、いわゆる歌モノのヒップホップだ。その中から素晴らしい名曲が生まれた。特にヒップホップに興味のない音楽ファンにも、そうした曲は浸透して行った。そして日本土着型ヒップホップともいえるスタイルが出来上がっていく。KREVAはその流れの中にいない。あくまでもラップにこだわり、ストロング・スタイルを貫いている。そのラップ文体は、どんどん洗練されオリジナルなものになった。まさに、他に似たもののいないKREVA自身がジャンルと言えるものになった。
KREVAは歌モノのヒップホップに於いても優れた作品を数多く持っている。しかし、そこでも他に似たもののない、ある意味で異端と言えるスタイルを誇っている。彼のメロディは、日本土着型ヒップホップ・メロディとは全く違うものだ。ここでも彼はひとつのジャンルなのだ。
ソロ10年を記念する武道館とライブハウスのステージを観て、たった一人のKREVAの強さに感じた。
ラップにこだわりストロング・スタイルを貫く優れたアーティストはいるが、KREVAのようなポピュラリティーを獲得している存在はない。
優れた歌モノのヒップホップ作品を作るアーティストはいるが、KREVAのような似たもののないスタイルを確立しているアーティストは少ない。ましてその両方を実現しているアーティストはKREVAだけだ。
異端でありながら大衆的である、ポップミュージックの理想に向かってKREVAはひたすら進んでいる。
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