デビュー前にグラミー賞を受賞するという幸福な形でキャリアをスタートさせた女性アーティストだ。メジャー・デビュー前にゼッドの「クラリティ」のヴォーカリストに抜擢され、その曲が大ヒットしてグラミーも受賞してしまったのだ。メジャー・デビュー後も、シングル「ユース」は全米ダンス・チャート1位、アルバムは本国の英国で5位と、25歳の新人としては破格の成功を収めている。
デビュー前、ヴォーカリストとしての実力によって世界に認められたフォクシーズだが、彼女の素晴らしさは、作詞作曲能力、歌唱力、ルックス、そのどれにも恵まれたトータルなアーティスト性だ。今回のライヴでもその総合力の大きさが十分に発揮されたパフォーマンスを見せてくれた。
白のスカートの中に小さなLEDが仕込まれていて、それがキラキラと光る、とてもキュートな衣装でステージに登場。客席からの「カワイイ」という声に笑顔で「カワイイ」と答えて、終始観客とのフレンドリーなコミュニケーションを大切にするステージングだった。2曲目で最大のヒット曲「ユース」が歌われてしまって、最後までテンションが持つのか心配したが、「ハッピー」のカバーを歌ったり、「クラリティ」の弾き語りヴァージョンを披露したり、最後まで楽しいステージだった。
才能あるクリエーターだが、あえてアーティスティックなイメージを強調せず、アイドル以上にポップに自分を見せるのは、レディー・ガガを筆頭に最近の若い女性アーティストの傾向だ。それは何より自分の才能に対する自信があるからということを、フォクシーズは観る者に強く感じさせた。
4日、デュオ・ミュージック・エクスチェンジ。
(2014年9月24日 日本経済新聞夕刊掲載)
日経ライブレポート 「フォクシーズ」
2014.09.26 18:38