メインのソングライター2人を失うことによって、意図せざる形で音楽的構造を再構築することにスリップノットはなった。それがとても困難であったことは最新作が発表されるまでに6年の時間が必要だったことから明らかだ。しかし発表された作品はシーンから熱く迎えられ、日本や本国アメリカを含め世界各国でチャートの1位を獲得した。
彼らが最新作で聞かせてくれたのは、より普遍化されたスリップノット・ワールドだった。これまでの世界観は強固に保ちつつ、より多くの人と共有可能なメロディーとサウンドデザインがそこにはあった。
ラウドロック、ヘヴィーロックが、市場のメインストリームで、それ自身のスタイルに於いて革新的であり、破壊性を持っていた時代はかなり前に終わっている。そんな中、このフェスに参加しているバンドは厳しい闘いを続けている。
その状況でのスリップノットの最新作が成功した意味は大きい。こうしたフェスのオーガナイザーとして、ラウドロック・シーンを牽引する彼らが新しい方向を示した新作で大きな支持を得たことはシーン全体にエネルギーを与えるはずだ。
2日間に渡って観ることの出来たスリップノットのステージは、これまで以上にショーアップされスピード感を増した、とてもエンターテイメント度の高いものだった。いつも以上にいい人感が溢れるのコリィのMCも、今のバンドのモードを反映している気がした。
ラウドロック、ヘヴィーロックが時代を超えた普遍化を獲得するには何が必要かをスリップノットはこのフェスで明確に提示していた。