超満員のライヴ会場を埋めたお客さんの9割が若い女の子。ステージにメンバーが登場すると、ほとんどの女の子が頭上にスマホをかかげて映像を撮る様子は壮観。
日本ではワン・ダイレクションの妹グループというイメージがあるが、世界的には評価も人気も確立したビッグネームである。本国英国では2万人クラスのアリーナ・ツアーを行っているポテンシャルを、この日はライヴハウスで爆発させたので、ステージから放出されるエネルギー量は凄かった。
英国の人気オーディション番組「Xファクター」出身の女の子4人のグループだ。ワン・ダイレクションも同じ番組出身で、レコード会社もプロダクションも一緒なので妹分的な扱いをされることが多い。ただグループの在り方は基本的に違う。簡単に言ってしまうと、ワン・ダイレクションのファンは異性だが、リトル・ミックスのファンは同性なのだ。同世代の女の子が共感し応援したくなる存在なのだ。
ステージで彼女達が示したのは歌の力でありダンスの素晴らしさだ。まさにストロング・スタイルのパフォーマンスである。しかもそれは明らかに彼女達の努力によって手に入れたものだ。運動神経のいいクラスメートが練習を重ね、最終的にオリンピックに出場したのを応援している、極端に言うとリトル・ミックスはそんな存在だ。いわゆる容姿に恵まれた勝ち組女子の物語でもなく、かといって天文学的な才能に恵まれたテイラー・スウィフトの物語でもなく、あくまでもそこそこの才能に恵まれたクラスメートが努力によって勝ち上がっていくリアルにファンは共感しているのだ。
5月16日、赤坂BLITZ。
(2016年6月3日 日本経済新聞夕刊掲載)
日経ライブレポート「リトル・ミックス」
2016.06.10 10:40