アーティスト

    クイーンの武道館ライブを観て思った。バンドが継承されていく素晴らしさについて

    クイーンの武道館ライブを観て思った。バンドが継承されていく素晴らしさについて
    観客の誰もが納得し満足出来たステージだったと思う。
    2時間に渡るライブで歌われる曲のほとんどが代表曲であり、ヒット曲である完璧なセットリスト。
    見事なタイミングで使われるフレディーの映像。そこから感じられる徹底した彼に対するリスペクトと愛。まさに観客が求めるクイーンのライブが、そこにはあった。
    メンバーの死亡や脱退により、オリジナル・メンバーが揃わないまま、バンドが名前を残して活動を続けるケースが増えている。
    オリジナル・メンバーが一人になっても、グループ名が継承されていく例も少なくない。
    クイーンのライブを観ながら、僕はメンバーが変わってもバンドの名前が継承されていくというのは、どういうことなのだろうと考えていた。
    バンドの名前が継承されていくというのは、バンドの公的なイメージと思想が継承されていくということなのだと思う。
    大切なのは「公的」ということだ。つまり継承を認証するのは、メンバーではなく客なのだ。
    例えばクイーンがオリジナル・メンバーのまま活動を続け、2016年にEDMの新作を出しても、それは自由だ。しかしアダム・ランバートがヴォーカルのクイーンがそれをしたら、ファンは他のグループ名でやって欲しいと思うだろう。バンドというのは不思議なものだ。ポップ・ミュージック以外では、こうした形での集団的な表現は余りない。バンドのメンバーは、自分たちが作り出したものなのに、バンドは自分たちのものではないのだ。
    オリジナル・メンバーが揃わないまま活動を続け、成功しているのはこうしたことに自覚的なバンドだけだ。
    クイーンのライブは、まさにオリジナル・メンバーが全員いなくても、グループ名を正しく継承していくには何が必要なのかを示すお手本のような内容だった。写真は完璧なセットリスト。
    渋谷陽一の「社長はつらいよ」の最新記事
    公式SNSアカウントをフォローする

    人気記事

    最新ブログ

    フォローする
    音楽WEBメディア rockin’on.com
    邦楽誌 ROCKIN’ON JAPAN
    洋楽誌 rockin’on