日経ライブレポート 「サマー・ソニック」

サマー・ソニックのフェスとしての一番の魅力は、出演アーティストの多様性だろう。例えば3日目のトリ、一番大きいマリン・スタジアムのステージではビヨンセがブラック・ミュージックのファンを集め、二番目のステージではリンプ・ビズキットがヘヴィー・ロックのファンを集め、三番目のステージではフレーミング・リップスがマニアックな洋楽ファンを集め、それぞれが熱い演奏をくり広げた。

同時に進行する3つのステージはどれも一杯のお客さんで埋まっていた。ただどのステージを観ていたかによって、このフェスの印象は全く違っているだろう。僕は3日間共、ほぼ一日会場を動き回り、各日の平均8アーティストくらいのライヴを観る事ができた。それでも全出演アーティストのほんの一部にしか過ぎない。今年のサマソニは印象的なライヴが多かった。

その中でも僕のベスト・アクトはナイン・インチ・ネイルズだ。中心メンバーのトレント・レズナーの発言によると、しばらくはグループ活動を休止するようで、最後のエネルギーを全て燃焼させてしまうような壮絶なパフォーマンスだった。

エルヴィス・コステロとスペシャルズと続いた2日目も、まるで1970年代のロンドンの熱気がそのまま甦ったようであった。今、最も勢いのあるブルックリン・シーンからはグリズリー・ベアが参加し、絶妙なコーラス・ハーモニーを聞かせてくれた。きっと観ていないステージでも素晴らしい演奏が行なわれたのだろう。それを観る事ができなかった悔しさも、またフェスの楽しみでもある。


8月7〜9日 幕張メッセ・千葉マリンスタジアム
(2009年8月17日 日本経済新聞夕刊掲載)
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