チャボ、RC を歌う

チャボ、RC を歌う

清志郎が亡くなった後に起きた追悼センチメンタリズムの洪水、それに誰より戸惑ったのはチャボではないだろうか。
出来ればそうしたものから距離を置きたかっただろう。若い頃の彼ならそうしていたかも知れない。しかしチャボはそうしなかった。清志郎の「せめてチャボがそこに居てくれなくては俺は浮かばれないぜ」という声が聞こえたからだ。そして、その声を引き受けなければならないという覚悟を持てるくらい大人になったのである。
毎年恒例のAXのライブ。その年の動きを映し出す企画でやっているライブだ。今年、チャボはそれをRCを歌うという企画にした。3時間半近いライブだったが、そこでチャボはRCを歌い清志郎の思い出を語った。その会場に居た人間は誰もが、とてもかけがえない時間が流れている事を感じていたはずだ。
今年、チャボはとても厳しい時間を過ごした。冗談じゃないよ、と思う事も多かったはずだ。でも、その時間はチャボを強くした。昨日のライブを観て、そう思った。こんな事を書くとチャボから、そんなもんじゃないんだ、と怒られそうだが、本当にそう思った。とても難しいライブだったはずだ。観ていてつらかったらどうしよう、とも思った。しかし全くそんな心配はいらなかった。素晴らしいライブだった。
今年、チャボはカウントダウンに参加してくれる。誘った時、断られるかと思ったけど引き受けてくれた。その時も何か覚悟のようなものを感じた。イノセントな思い持ったたくさんの参加者に彼のステージを体験してもらいたい。
渋谷陽一の「社長はつらいよ」の最新記事
公式SNSアカウントをフォローする
フォローする