くるりの、アルバム『さよならストレンジャー』と『図鑑』の全曲再現ライブを観た

アルバム2枚分、2時間半。
まだデビューして時が経ってない頃の2枚のアルバムを当時これでもかと集中して聴いていた頃と同じ集中力で聴き入ってしまった。

疲れた。


それにしてもやっぱりとんでもないバンドだったわけで、それがそのまま今もとんでもない音楽をやるとんでもないバンド(最新作『THE PIER』を聴きましたか?)なわけで、
バンドもファンもよくぞここまでたどり着いたものだと思う。

ヒット曲満載のアーティストが初期のアルバムの再現ライブをやって盛り上がるパターンは最近では洋邦問わずよくあるが、
くるりの場合は新作ライブと変わらない違和感と緊迫感に満ちているのだから、これぞサブカルである。
サブカルチャーである。
世間で言うサブカルは、サブサブカルチャーに過ぎないのである。

それはさておき、僕はくるりがファーストアルバム『さよならストレンジャー』を出した時に少しばかりがっかりしたのを憶えている。
岸田のロッカーとしてのダイナミズムと、ソングライターとしてのメロの美しさをもっとストレートに出してくれると期待していたからだ。

「東京」や「虹」を聴いていたのだから無理もないでしょう?
まあ「尼崎の魚」も好きだったけれども。

でも、予想以上に変な曲(今日のMCで岸田は「うんこみたいな曲」と言っていた)が多くて、ちょっと「やり過ぎや」と思ったのだ。

でも、そのくるりの実験性、先鋭性があるからこそ、今、くるりはくるりとしての偉大なポジションにいる。

きっとこれからどの時代のどのアルバムの再現ライブをやったとしても、
ピリピリと集中させてぐったりと疲れさせてくれるだろう。

そういうバンドがいてくれないと困る。
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