この切り口は面白かった! 『ロック、常識破りの名盤35』特集

この切り口は面白かった! 『ロック、常識破りの名盤35』特集

今週土曜日に発売のロッキング・オン最新号では『ロック、常識破りの名盤35』と題して、初の企画をお送りする。

ロック史における数々の重要アルバムはこれまでもいろんな特集で取り上げてきたが、
「常識破りのアルバム」という切り口でロック史をひっくり返した名盤たちを特集するのは初の試みだ。

僕の頭の中のレコード棚にはそれらしきコーナーがずい分前からあって、
ビースティーやベックやPILやヴェルヴェッツやプリンスやニューオーダーやレディオヘッドが置いてあり、
ロックの歴史を語ったりロックの現状分析を書いたりする時に取り出してはいつも参照している。
今回の特集はそれを客観的な視点も含めて総括的にリストアップしようという試みだった。
好き嫌いは別として、今回選んだ30枚を聴けば、ロックという音楽の「破壊と創造」の衝撃力は間違いなく感じ取れるはずだと思う。
 
ブルースやカントリー、ソウルやヒップホップ、ハウスやレゲエ、あらゆる音楽ジャンルの中でロックほど「過激なまでの変化」を求められ、また自ら進んでその宿命を背負うジャンルは他にない。
なぜロックがそうした宿命を負っているのか――それは、ロックが自己批判の表現、いや自己批判そのものの体現だからだ。
「これがいいね」「こんなのがいいね」という表現ではなく、「これじゃダメだ」「こんなんじゃダメだ」という否定の衝動を内包した表現だからだ。
今回セレクトした30枚のアルバムはどれも、強烈なまでの「批判」「批評」「否定」のトリプルH精神が内に外に表れている。
そうやってロックは自分で自分の体を壊しては創り、切っては貼り、引き寄せては離して進化し続けるわけですね。
だから変化していく時代と向き合える表現であり続けるのです。

そして、常識を破り、世界をひっくり返し、歴史を変えてきた「常識破りの名盤」たちは、
不思議な事にいまもその音楽としての衝撃性を放ち続けている。
新たな世代に新たな意識で聴かれ、いまも世界を変え続けているのだ。
ここに選んだ35枚の「常識破りの名盤」は、「普遍的な名作」でもある。
その奇跡を1作づつひもといていく、という初企画。
かなり面白いのでぜひ楽しんで欲しいと思う。
山崎洋一郎の「総編集長日記」の最新記事
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