「2016年ベスト・アルバム50枚」を選んで思ったこと

「2016年ベスト・アルバム50枚」を選んで思ったこと
以下は、明日発売のロッキング・オン「2016年ベスト・アルバム50枚」特集の冒頭文です。
ぜひ中身もチェックしてほしいと思います。






今年の初め、ボウイが亡くなったことはあまりにも悲しかったが、その死とほぼ同時に世に生み落とされたアルバム『★』はその悲しみを乗り越える力さえ与えてくれるほどの素晴らしい作品だった。
そこから、海外ではレッド・ホット・チリ・ペッパーズとレディオヘッドが同日にニュー・アルバムをリリースするという大トピックがあり、カニエ・ウェスト、ビヨンセ、リアーナといったメインストリームのトップ・ランカー達が驚異的なクオリティーのアルバムを世界中のチャートに叩きつけ……というのが今年上半期の洋楽シーンだった。
上半期の時点でこんなお祭り状態の2016年、いったいどんなことになっていくのかと思っていたらその後もグリーン・デイ、レディー・ガガ、フランク・オーシャン、そして12月のローリング・ストーンズ、ニール・ヤングと、最後までその勢いは止まらなかった。
2016年はここ数年なかったほどの、名盤大豊作の幸福な1年だった。

そして、これはたまたまの、ただの偶然ではない、という気がしている。
音楽の質を数値化することなどできないが、でも、今、ポップ・ミュージックの「クオリティーの平均値」的なるものは急激に上がりつつあるのではないか、という気がする。

デバイスとソフトの普及によって音源制作が以前よりも遥かに解放されて一般化したことでクリエイター/アーティストの裾野が広がっていることや、また、SNSやウェブ・メディアの情報網によっていいアーティスト/作品がすぐにちゃんとピック・アップされて拡散し、逆に駄作や失敗作はあっという間に淘汰されてしまうということ。あるいはまた、レコード会社主導型の旧来的な音楽業界のスキームが崩れつつあることで、制作にまつわる様々な制約から解放されてアーティスト主導型になり、作品の純度が上がっていること─といった大きな時代の変化によってポップ・ミュージックの質は必然的に上がっていると考えることができると思う。

そうしたことも踏まえながら、2016年のベスト・アルバム50枚を選んだ。上位の作品もさることながら20位台や30位台の作品のクオリティーが、以前だったら10位以内に入っていてもおかしくないレヴェルであることに驚きと手応えを感じる人は多いのではないだろうか。(編集長 山崎洋一郎)
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