今や、アメリカを代表するロックバンドのひとつにまで成長した、ザ・ナショナル。
映画と連携したマルチメディアプロジェクトだった前作発表後のツアーは、コロナ禍で中止を余儀なくされたものの、各人のソロ活動――主格アーロン・デスナーはテイラー・スウィフト、エド・シーラン新作のプロデューサーとしてもMVP賞は確実ですな――とソウルサーチング、充電期間を経て待望の最新9th『ファースト・トゥー・ページズ・オブ・フランケンシュタイン』で、いよいよ本格再始動します!
しなやかに、したたかに、しめやかに――規制緩和後のツアー先にまで簡易スタジオを持ち込み、世界各地でレコーディングを敢行、またテイラー・スウィフトやフィービー・ブリジャーズらを迎え、悲哀な情感に更なる層を加えるなど、多彩な音&声&空間/ヴァイブ&音楽性を用いて細やかに塑像された本作は、彼らの美学の集大成のひとつと言えるでしょう。
そのリリースを祝い、次号ロッキング・オンは、この作品を中心にナショナルの多角的な魅力に迫る論考を掲載します。
結成からはや20年以上、彼らはどこから来てどこに向かうのか。その理解の一助になれば幸いです。(坂本麻里子)
ザ・ナショナルについての論考を掲載するロッキング・オン6月号