この大地を踏みしめて

ACIDMAN『I stand free』
2008年11月12日発売
ACIDMAN I stand free
アコースティック・ギターで歌い出される繊細かつ壮大なバラード。愛を失った人が太陽の光を浴びて再生する。大づかみにいって、そのような内容の新曲である。大木伸夫の歌詞はイメージが奔放で、時に抽象的で難解に感じられることもなくはない。だが、今回の曲はわかりやすい日本語が並んでおり、呑みこみやすいものになっている。ふり返れば『LIFE』には、“FREE STAR”という曲があった。その詞について大木は、SF的なストーリーが背景にあると語っていた。同曲と新曲はフリー=自由というテーマで共通しているわけだが、前者が宇宙に浮かぶ星をめぐるSF的内容であったのに対し、今回はこの大地に立って自由を感じている。それくらいの感覚的な差がある。新曲は身近な、等身大の感覚で歌われているのだ。また、『LIFE』には、“TO THE WORLD’S END”という曲があったが、“I stand free”にも≪the world’s end≫(世界の果て、終わり)という言葉が出てくる。その意味では『LIFE』のテーマを、今回は別な角度から歌い直しているともいえるだろう。素直にしみる、美しい曲だ。(遠藤利明)
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