頑固一徹の勝利

グラスヴェガス『グラスヴェガス』
2008年11月12日発売
グラスヴェガス グラスヴェガス
何て頑固なバンドなんだ、と思う。ずっと気難しい顔して世界を毒づき続けていたら眉間の皺が消えなくなってしまった、みたいな風貌も味があっていい。おばちゃんのドラマーもいるし、実際若くない彼らは2000年代初頭からスコットランドの片田舎で細々と母体となる精神を燃やし続けてきたバンドである。今でこそちやほやしてくれるアラン・マッギーも最初は全然相手にしてくれなかったらしい。だいたいデス・ディスコ最盛期の2000年代前半、マッギーはガレージやポスト・パンク風のお洒落なバンドばかり追いかけてて、グラスゴー〜ジザメリ魂を具現化したグラスヴェガスみたいな存在は完全にスルーしていた。マッギー個人が悪いのではない。そういう時代だったのである。それでも彼らは真空地帯でノイズを鳴らし続け、あの軽薄な時代が終わった頃、気がつけばそれはロマンティックな神話へと昇華されていった。

甘く爛れたノイズなんて、得てして雰囲気・ムード先行の最たるものだ。ネオゲイザーとか呼ばれる昨今のトレンダー達から無神経に雰囲気ベールを取っぱらったら殆ど何も残らないだろう。ここで、グラスヴェガスの石頭っぷりが重要になってくるのだ。彼らの揺ぎ無き鉄壁のウォール・オブ・サウンド、我流の輝きを放つ星屑のサイケデリア、その自我を失うほどの美しさは、自己憐憫に端を発するロンリネスではなく、誇り高いソリタリィを象徴している。

絶対に譲れないものがある。当然、視野は狭くなる。それでいい。信じるとはそういうことだ。(粉川しの)
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