行方不明の美学……かな?

ザ・レンタルズ『ロスト・イン・アルファヴィル』
発売中
ALBUM
1994年にリリースされた青いジャケット、レコ屋さんで見てフィーリーズを連想しジャケ買いしたウィーザーのファーストは本当に衝撃的だった。いい意味で、信じられないほど脳天気!?と思った。翌年、そこでベースを担当していたマット・シャープの別バンド、ザ・レンタルズのアルバムも出た。うわっ、ムーグ・シンセを大量フィーチャーしたへなちょこポップ・サウンドは、あれ以上に脳天気じゃないか! 正直こっちのほうがさらに好きかもと。

その後マットはウィーザーを脱退、レンタルズに集中する形で制作された1999年のセカンドも素晴らしかった。だけど、ちょっと前作に比べて、かちっとしすぎてるきらいもなくはなかった(聴き手はわがまま)。そして、この15年ぶりのサード・アルバム……グレイト! 年輪のようなものは感じさせつつ、これは完全に「ひらきなおった果てのハード・ポップなゆるさ」だよ。アルバム・タイトルは(ウルトラセブン)「第四惑星の悪夢」のストーリーやモノクローム・セットの曲名にも援用されていたゴダールSF映画と関係ありそう? とにかく、気持ちいいことこのうえない。(伊藤英嗣)