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ベースメント・ジャックス『フント』
発売中
ALBUM
ベースメント・ジャックス フント
極めてポップだ。昨年のダフト・パンクやディスクロージャーが作り上げた、高品位なダンス・ミュージックと高品位なポップ・ソングの垣根を取り払い、ディスコ・ヒットを現代的に蘇生させるような手続きとも共鳴している。人気ヴォーカリストを配しエモい展開を見せた『スカーズ』、そしてチルアウト~実験的サウンド・コラージュで構成された『ゼファー』という連作でXLとの長きにわたるパートナーシップが満了し、ベースメント・ジャックス自身のレーベルから初となるアルバム。世界中のドラム・ループ(和太鼓のような音も含まれている)が次々に連なるイントロダクションからして、実に親切で分かり易い。肩の力が抜けて風通しが良く、何より『レメディ』を思い出させるほどに官能的なダンス・ポップ作である。

自主レーベルから一発目のアルバムで失敗するわけにはいかないが故の突き抜けたキャッチーさと捉えることも出来る。しかし、この世界中の音のエッセンスが一個の肉体を形作り、あたかもキャラヴァンのように各国でフレッシュなヴォーカリストたちをフックアップし続ける開放感は、それ自体がベースメントの2人による今の世界へのメッセージだ。

日本盤ボートラでは、Charaやマドモアゼル・ユリアそれぞれの参加曲や、“バック・2・ザ・ワイルド”も押さえてあって嬉しい。(小池宏和)
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