ほんっとに驚いた、このミニアルバムを聴いて。前提として、SAKANAMONのヴォーカル・ギター藤森元生は社会と折り合いをつけるのが苦手なタイプで、そう書くとちょっとかっこいいがむしろそれがコンプレックスとなっているような男で、だから負けっぱなしの人生だと思っているし、闘争の意思など持ち合わせていないし、そういう「特殊な」人たちが集まる自分たちのライヴはやっぱり「特殊な」場所なのであると、わざわざステージから言うのである。事実、今作でも《世渡り知らずの僕が今世紀輝く術が無いの一目瞭然》(“幼気な少女”)とか《何れにしても繁栄は無いから/身分に見合った世界を期待裏切ってご提供》(“アリカナシカ”)とか歌うわけだが、それは?だ。?だと音とメロディと歌詞のわかりやすさが物語っている。ひねくれ要素が皆無になり、後ろ向きだとしてもはっきりと大きな声で自分のできることを叫んでいる。要するにこれが俺だ文句あっか、というミニアルバムである。アリでもナシでもあとはご自由に、ということである。強い。さあ正々堂々、SAKANAMONの勝負である。(小川智宏)