ボウイにしか作れないベスト盤

デヴィッド・ボウイ『ナッシング・ハズ・チェンジド~オールタイム・グレイテスト・ヒッツ』
デヴィッド・ボウイ ナッシング・ハズ・チェンジド~オールタイム・グレイテスト・ヒッツ
50年のキャリアを網羅した本コンピはいわゆるベスト盤だが、「いわゆるベスト盤」の役割を逸脱した本作は、やはりボウイにしか作れないものだ。通常、アーティストの過去を振り返り、偉業を誉め称えるのがベスト盤の主旨であり、「現状報告」的な新曲が収録されることはあってもあくまでそれはオマケであるパターンが大半だ。後ろ向きとまでは言わないまでも、完結した物語として過去に固定されたのがベスト盤なのである。しかし、ボウイの本作の印象を決定づけているのは7分24秒の新曲“スー”だ。生演奏でのIDMであり、ジャズ・エクスペリメンタルな、このとんでもなく「今」な新曲だ。本コンピのジャパン・エディションは“レッツ・ダンス”始まりだが、3枚組デラックス・エディションは“スー”で始まり、時代を遡っていく構成になっている。今があるからこその過去だと、強烈に印象づけられている。ちなみにジャパン・エディションの“スー”はラジオ・エディットなので、シングルなり何なりでオリジナル・ヴァージョンも必ずチェックして欲しい。シングルにはさらに新曲“ティズ・ア・ピティ・シーズ・ア・ホー”も収録されます。 (粉川しの)
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