カール・バラー印の決定盤

カール・バラー・アンド・ザ・ジャッカルズ『レット・イット・レイン』
発売中
ALBUM
カール・バラー・アンド・ザ・ジャッカルズ レット・イット・レイン
ソロ作を作るつもりだったカールがフェイスブックで募ったメンバーと共に完成させた本作だが、ここまでカール・バラー個人の魅力が詰まった作品は初めてではないか。リバティーンズにおけるカールとピートの個別性とは、例えば“ボーイズ・イン・ザ・バンド”はカール、“ホワット・ア・ウェイスター”はピートっぽいと感じるように、特定の曲においてごく稀に表出するものだった。対してこのジャッカルズは、リバにおけるカールらしさを純粋抽出したようなプロジェクトなのだ。逆に言えば本作は「カール・ヴァージョンのリバ」のようにも聴こえ、彼自身も本作において、リバと自分のソロとの棲み分けをかつてのダーティ・プリティ・シングスほど必要としていないし、ジャッカルズもリバも矛盾なく両立出来ている現在のカールのコンディションの良さが反映されている。カールらしさが凝縮されたゆえに、基調となっているのはガレージやグラム。“ビギニング・トゥ・シー”のようなナンバーを聴くと、リバではピートの規格外のロマンティシズムの陰に潜んでいるカール独自の優男のロマンみたいなものが見え隠れしていてくすぐったい。(粉川しの)
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