マッチョ一辺倒ではない

バトルス『ラ・ディ・ダ・ディ』
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ALBUM
バトルス ラ・ディ・ダ・ディ
軽さと明度を増量した音空間やハイパーかつポップに突き抜けたヴィジュアル等、1作目を覆そうという反動の意志が感じられた前作にはタイヨンダイ・ブラクストン脱退の波紋と混乱が様々な意味で残響していた(メンバーは否定するかもしれないが)。逆に言えばハンデを解消した後に登場する本作こそ正念場になるが、セカンドにおけるインパクト優先の極端なコントラスト=速効性と膨大な情報量とを推し進めるのではなく、全曲インストで臨んだここではむしろアフリカ音楽やテクノを彷彿させる有機的なリフの積み重ねとメロディックなアクセント(アジア味が良い)がポイントになっている。

バトルスのガチンコなライヴが浮かぶ剛毅なトラック(M1、M6)も健在ながら、彼らにしてはシンプルで聴かせるM4、M5、M12といった楽曲で光る「引き」の美しさこそ大きな成長だろう。多彩なアイデアとスタイル、音数を混交するデジタル時代を反映したマキシマム主義と高度な機能性はこのバンドの強い個性とはいえ、ノンストップな刺激は感覚を麻痺させもする。反射神経ではなく、耳と心にアピールするアルバムが作れることを証明した1枚だ。(坂本麻里子)
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