年々ワーカホリックぶりが加速し、つねに片手では足りないプロジェクトを抱えるマイク・パットン。テテマとミスター・バングルに続くリリースは、デュアン・デニソン（ジーザス・リザード）、ジョン・ステニアー（バトルズ）等を擁するトマホークの8年ぶりのアルバムだ。
タイトルは擬死を意味する。動物や昆虫が死んだふりで捕食を逃れるこの防衛能力と、現在のパンデミックで停滞した状況が重なった。彼らにとってはロックが、この現状のなか“生”を謳歌する場所だろう。
パットンのプロジェクトのなかではプログレ度・変態度は抑えめのトマホークだが、今回はこれまでの作品でも最も切れ味の鋭いギターがフィーチャーされ、アンサンブル、ミックスともにストレートに興奮のスイッチを押すものになっている。百戦錬磨のミュージシャンによる“キャッチー”さに痺れる。（吉羽さおり）
ディスク・レビューは現在発売中の『ロッキング・オン』5月号に掲載中です。
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『rockin'on』2021年5月号
