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たとえば“禁断少女10”の打ちつけるようなリズムとギターのストロークや、“青春ごっこ”でかき鳴らされるネオアコなギターサウンド。“ナードと天使”のパンクなエイトビートに、“メロい夢”のパッと世界を照らすようなピアノのコード。《おなかがすいたら/ごはんを食べにいこう》と歌う“ごはん食べヨ”にも、《過ぎ去った孤独に さぁ手を振って/あなただけの今を踊ろう》と歌う“今を踊ろう”にも、飾り気のない「本音」が滲んでいるように聴こえる。Mega Shinnosukeというアーティストが持っていた肯定性と優しさが、これまでとはまったく違う精度で翻訳され届いてくるようなアルバムだ。憂いだらけの日々だけど、君への想いだけを徹底的に膨らませて、その中にどっぷり浸かって夢を見れば、きっと明日を愛することができるはずだから、とこのアルバムは言う。それは彼がかつて歌っていた現実逃避とはまったく違う。“白い墓(slowed+reverb)”に綴られるのは、《くだらない世界》を終わらせるという覚悟だ。(小川智宏)(『ROCKIN'ON JAPAN』2026年1月号より)
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