年間ベスト級の凄まじい大傑作誕生

アルカ『ミュータント』
アルカ ミュータント
センセーションを巻き起こしたデビュー作『ゼン』からわずか1年で、超弩級の新作の登場である。前作が内省的だったのに対し、本作は外部に向けて発信されるものであり、周囲から受けてきた影響によって「絶え間なく繰り返される変異が描かれている」作品であるという。つまり『ゼン』は、無名の存在だった彼がコツコツと作り上げてきた音源の集大成だったが、今作はデビュー以降に激変した環境が強く作用した作品ということだろう。果たして本アルバムは、前作をはるかに上回る刺激に満ちた凄まじい傑作となった。『ゼン』は最先鋭のエレクトロニック・ミュージックの方法論を高い偏差値でまとめあげた傑作ではあったが、今回はあらゆる点がグレードアップされた。デッサンが狂ったようなキレキレのビート、触れれば指先が切れそうな鋭利な感性、凄絶なまでに美しくドラマティックなサウンド、寒気がするほど深い表現、ヤバいぐらいに研ぎ済まれた音響デザインと、隅々まで空恐ろしいほどの才気が迸っている。わずか1年でこの成長の速度は不吉なものさえ感じてしまう。アート・ワークも強烈。圧倒的。(小野島大)
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