2ndアルバム『猛烈リトミック』以来1年2ヶ月ぶりのリリースだってことなどブッ飛ぶシングルだ。リードトラック“KOIKI”は、歌川菜穂のドラムソロから始まり、藤本ひかりのベースが歪むタフなサウンドで赤いマント姿のヒーローを登場させて、小粋でいたいと歌うキュートなナンバー。スゥッと耳に馴染みながら小憎い展開を挟み、グイグイ上昇していくメロディは津野米咲（G）の十八番だ。ヒロインじゃなくてヒーローと歌うのは型に嵌らず攻める彼女たちの姿勢そのままで、そこに「小粋」という言葉で愛されキャラを挟み込むツンデレ感がたまらない。くるくる変わる曲の表情を描き出す佐藤千明（Vo）の歌もよく、赤い公園史上最も間口の広い曲として受け入られるんじゃないかと予感する。

一方カップリングの“出鱈目”は津野の内省が現れたバラードで、ピアノとシンセだけの音像が幻想的だ。そして定番のカヴァーは久保田利伸96年のヒット曲“LA・LA・LA LOVE SONG”。原曲ではナオミ・キャンベルが歌うコーラスも入れて気分はディスコ！この振れ幅が赤い公園だ。（今井智子）