今夏のサマーソニック出演も控えるドイツのハンブルク出身のエレクトロDJデュオ。5年ぶりにリリースされる3枚目のアルバムになる。気づけば結成から10年を超えた中堅だが、この流行り廃りや趨勢の激しいダンス・ミュージック・シーンにおいて、自身の「王道」を迷いなく進んでいることが窺える充実作だ。

昨年のシングルでも強烈なシンセベースのエレクトロ&ハウシーな歌ものと、十八番を遺憾なく披露した彼ら。そうした鉄板のスタイルは今作においても存分に貫かれていると言っていい。ロックとのクロスオーヴァー感をダイナミクスとしながら、ヴォーカル入りのトラックにおいてもフロア・ユースに対応したプロダクションやソングライティングは健在。リード・トラックの“バトルクライ”や“ゴー・タイム”、あるいは“ユートピア”はその格好のサンプルだろう。「ダンス・ロック」という自分たちのスタイルは守りながらも、それこそEDMと勝負するボトムの厚みや、高揚感を誘うメロディのスケール感。次の10年間を視野に入れた彼らの深化が、この10年間をサヴァイヴしてきた自負として今作に結実している。（天井潤之介）