写真を見ると噴き出しそうになるほど血を感じさせるジェイムズ・マッカートニー。父はもちろんポールで、13年のデビュー作『Me』以来のセカンドだが、驚かされたのはエンジニアがスティーヴ・アルビニで彼のスタジオでも録っていること。ニルヴァーナのカート・コバーンやPJハーヴェイ等をフェイヴァリットに挙げているところからすると、彼の中では自然な流れなのだろう。

書く楽曲や歌声は父親ゆずりで表面的にはマイルドだが、その奥に燃えるマグマはけっこうノイジーでささくれだったものを感じる。ビートルズや父ポールの看板がどうしてもついて回ることを嫌って、あえて音楽活動を避け、本格的に音楽キャリアをスタートさせたのが30歳過ぎてからというのもそこらに起因するわけだが、自分の中で折り合いをつけ納得いく曲や音として吐き出すことができた喜びのようなものが自然に鳴っているアルバムで、大きな可能性を感じさせる。ファースト・シングル“トゥー・ハード”にはジョージの息子ダニー・ハリスンも参加しているし、資質的にはショーンに通じてもいるので、これはほんとにⅡ世バンド、アリかも!? （大鷹俊一）