ダジャレや語呂合わせやオヤジギャグや、そして何よりも下ネタが大好きで、ちょっとシリアスなとこもあるけど決して大マジにはならず、軽妙洒脱で、そしてとっても粋で(ここ大事)──という己を戯画的にデフォルメして歌にするソングライターが桑田佳祐であることは、ファンにとって周知の事実である。が、そうではない曲もいろいろ書くことも周知の事実である。特にサザン無期限活動休止あたりからは、そっち方面よりも「シリアス」「切実」「メッセージ」方面の名曲を生むことに心血を注いできたフシがある。その反動が一気に出て、「そっち方面」に走った曲がこの“ヨシ子さん”である、という解釈はどうか。どうかと言われても困るか。でもファンはこういう桑田も聴きたいのだ、好きなのだ、という希望に、期待以上のレベルで応えてくれた理想的な曲だと思う。そもそも、カップリングの3曲の中にはマジ方面の曲もあるのにこれを表題曲に持ってきたあたりに、ただ書きたくて書き、歌いたくて歌った感じが見えてうれしい。密室性が高いのにシンプルな打ち込みアレンジも、とてもいい。(兵庫慎司)